美作

津山市の弥生遺跡 後編

津山弥生の里文化財センターの2階には、津山市内の古墳から発掘された埴輪が展示されている。 埴輪というと、殆どの人が人型埴輪を想起すると思うが、初期の埴輪は土管のような形をした円筒埴輪であった。 円筒埴輪 円筒埴輪は、古墳の上部に、半ば地面に埋…

津山市の弥生遺跡 中編

弥生時代に田を耕すのに使われていた鋤、鍬といった道具は、木製品であった。 鍬 鋤 えぶり 木製品には、硬い樫の木が使われた。いかに硬い木を使っていたとしても、金属器の方が遥かに作業能率が上だろう。 当時の農業は、大変だったろう。 弥生時代の田は…

津山市の弥生遺跡 前編

11月8日に、今まで行きそびれていた津山市の弥生時代の遺跡と津山弥生の里文化財センターを巡った。 「岡山県の歴史散歩」に載っている遺跡名を、文化財総覧webgisのサイトで検索して位置を特定し、訪問した。 津山盆地からは、弥生時代の遺跡が多く発掘さ…

真庭市 天津神社 熊野神社 五反廃寺

岡山県真庭市には、中世以降に地域の神楽の興行権を独占し、室町時代に作られた獅子頭を持つ神社が2つある。 一つは真庭市高屋にある天津神社である。 天津神社 天津神社の創建は、和銅三年(710年)と伝わっている。 祭神は、天津神の天児屋(あめのこやね…

篠向城跡

真庭市街の南東に標高419メートルの篠向(ささぶき)山が聳えている。 山上に、中世の山城跡である篠向山城跡がある。 篠向山 篠向山城跡には、車で上がることが出来る。山の西側にある岡山県真庭市大庭の集落から、山上に上がる舗装路に入ることが出来る。 …

今西山法福寺 川東車塚古墳 

木山神社、木山寺の参拝を終え、旭川沿いに南下し、真庭市の南端にある吉(よし)の集落に行った。 ここにある真言宗の寺院、今西山法福寺には、岡山県重要無形文化財の吉念仏踊りが伝承されている。 今西山法福寺 ネットで法福寺を検索すると、立派な山門の…

木山神社 木山寺 その6

木山寺の東側の山中に、木山神社の奥宮がひっそりと建っている。 木山神社奥宮への案内看板はないので、危うく見過ごすところであった。 奥宮があることを知らずに参拝すると、確実に見落とすであろう。 木山寺南側の駐車場から南に歩くと、東に入る道がある…

木山神社 木山寺 その5

本日は、木山神社と木山寺参拝のクライマックスとも言うべき、木山寺の鎮守殿を紹介する。 鎮守殿は、木山寺本堂の背後に建つ建物で、薬師瑠璃光如来の化身の木山牛頭天王と十一面観世音菩薩の化身の木山善覚稲荷大明神を祀る建物である。 木山寺鎮守殿 この…

木山神社 木山寺 その4

木山寺本堂は、大師堂のある場所から、さらに石段を上がったところにある。 本堂への石段 上の写真を見てお気づきになっただろうか。寺院の本堂に至る石段の両脇に狛犬があり、石段の上に鳥居がある。 木山寺本堂は、寺院の本堂でもあり、神社の拝殿でもある…

木山神社 木山寺 その3

木山神社里宮の参拝を終え、木山山上に続く自動車道を使って、木山寺に赴いた。ここは真言宗の寺院である。 明治の神仏分離までは、木山寺は木山神社と一体化していて、合わせて木山宮と呼ばれていた。 弘仁六年(815年)に弘法大師空海がこの地を訪れて、開…

木山神社 木山寺 その2

木山神社里宮の社殿は、昭和37年に竣工したものだが、既に国登録有形文化財になっている。 拝殿 戦後に出来た新しい社殿とは言え、木造の立派な建物であるためだろう。 拝殿前にて、七五三参りに訪れた家族連れが、入れ替わり立ち替わり記念撮影をしていた。…

木山神社 木山寺 その1

岡山県真庭市木山にある木山神社は、標高414メートルの木山山頂に奥宮が、麓に里宮が鎮座する神社で、奥宮の隣には明治の神仏分離で分かれた別当寺の木山寺がある。 昭和37年に、木山の麓に里宮が完成し、遷座した。それ以降、山頂の本殿は、木山神社の奥宮…

大寺山勇山寺

清水寺の参拝を終え、岡山県真庭市鹿田(かつた)にある真言宗の寺院、大寺山勇山寺(いさやまじ)に赴いた。 大寺山勇山寺 勇山寺山門 勇山寺は、神亀三年(726年)に聖武天皇の勅願により創建された。 行基菩薩が、六尺五寸の薬師如来坐像を自ら彫って本尊…

福聚山清水寺

今日、美作の史跡巡りを行った。岡山県真庭市南部の史跡を巡った。 最初に訪れたのは、真庭市関にある真言宗の寺院、福聚山清水寺(ふくじゅさんせいすいじ)である。 清水寺は、山上にある伽藍だが、今は寺院まで自動車道が通っているので、楽に参拝するこ…

恩原ダム 恩原遺跡群

岩井滝から南東に進み、国道482号線に出る。 国道482号線は、かつて因幡道と呼ばれた。国道482号線を東進すると、岡山ー鳥取県境にある標高785メートルの辰巳峠に至る。ここを越えると、因幡である。 辰巳峠 岡山県側から鳥取県側を望む 因幡に入り、国道482…

岩井滝 

赤和瀬から東に行き、尾根を一つ越えると、中津河沿いの谷間に出る。 中津河の上流にあるのが、岩井滝である。 岩井滝への登り口 岩井滝は、因幡、伯耆、美作に跨る三国山の美作側の麓、標高約830メートルの位置にある。 駐車場に車をとめ、駐車場近くの登り…

赤和瀬

日本原子力研究開発機構の敷地の東側の谷間に、赤和瀬(あかわせ)と呼ばれる集落がある。 赤和瀬川沿いに田畑が広がる典型的な日本の農村の風景である。 赤和瀬の風景 本当に美しい風景だ。ここは、かつて木地師と呼ばれた職人集団が住み着いた集落である。…

上齋原スペースガードセンター

人形峠アトムサイエンス館に隣接しているのが、JAXA(宇宙航空開発研究機構)が運営する上齋原スペースガードセンターの展示室である。 上齋原スペースガードセンター展示室の入口 人形峠アトムサイエンス館と上齋原スペースガードセンター展示室の裏手は、…

人形峠アトムサイエンス館

上齋原から国道179号線を北上すると、鳥取県境に差し掛かる。 国道179号線をそのまま進むと、県境にある人形峠の下を潜る人形トンネルに入る。 トンネル手前の道を左に入りしばらく進むと、人形峠に到達する。 人形峠(岡山県側) 人形峠(鳥取県側) 人形峠…

妖精の森ガラス美術館

人形仙三十七人墓から南下し、岡山県苫田郡鏡野町上齋原(かみさいばら)の町にやってきた。 ここは、伯耆往来の美作側の最北の宿場町である。元禄時代には、既に宿場町が形成されていたという。ここを過ぎて人形峠を越えれば、伯耆に至る。 上齋原は温泉地…

岡山県立森林公園 人形仙三十七人墓

羽出地区から北上し、岡山県と鳥取県との県境にある岡山県立森林公園を訪れた。 岡山県立森林公園 岡山県立森林公園は、昭和43年に明治100年記念事業として整備が始まり、昭和50年7月に開園した。 公園入口の標高は、約840メートルで、公園最高所である「き…

鏡野町羽出地区

奥津温泉から岡山県道445号線を走り、峠を越えると、羽出(はで)という谷間の農村地域に出る。 地区の東端に近い山の麓に、七色樫と呼ばれる樹木がある。 七色樫 七色樫は、ウラジロガシの一種で、四季を通じて葉の色が変わる珍しい木である。 春の赤に始ま…

奥津渓 後編 奥津温泉

般若寺の太子岩から少し上流の、奥津渓の右岸にも遊歩道があって、奥津渓八景の一つ、琴渕まで歩いていくことが出来る。 琴渕 琴渕のある場所は、丁度吉井川が90度に曲がっている所で、水が滞留しており、ここだけ流れが止まっているかのようだ。 静かな時間…

奥津渓 前編

泉嵓神社の参拝を終えて、吉井川沿いを北上する。 岡山県苫田郡鏡野町奥津川西にある国指定名勝・奥津渓を訪れた。 奥津渓 奥津渓は、吉井川が長い年月をかけて川床の花崗岩を侵食して出来た渓谷である。 奥津渓には、甌穴、滝、渕、奇岩絶壁が存在し、中で…

泉嵓神社

5月14日に美作の史跡巡りを行った。 生憎の雨の中の史跡巡りとなった。 最初に訪れたのは、岡山県苫田郡鏡野町養野にある泉嵓(いずみいわ)神社である。 泉嵓神社 泉嵓神社は、標高約1209メートルの泉山の麓近くにある。 参道前に駐車場があり、何台か自動…

西屋城跡 後編

天正十一年(1583年)、宇喜多氏の家臣斎藤玄蕃が守る西屋城を毛利勢が攻撃した。 西屋城は落城したが、その際に落命した人の石碑が西屋城跡南東の杉地区に残っている。 西屋城跡東南麓にある泉神社から、国道179号線を少し南西に行った道沿いに、斎藤玄蕃の…

西屋城跡 前編

富地域から東進し、国道179号線に出て北上する。 岡山県苫田郡鏡野町女原の集落が近づくと、目前に標高約515メートルの西屋城跡が見えてくる。 西屋城跡 西屋城跡の築城年代は定かではない。天正年間(1573~1592年)には、宇喜多直家に攻略され、苔口利長が…

富地域の史跡

岡山県苫田郡鏡野町の北西部に位置する富地域は、1000メートル級の山々に囲まれた自然豊かな地域である。 前回紹介した布施神社は、この地域の精神的な拠り所となる大切なお社である。 富地域の中心は、富西谷の富振興センターの辺りになるが、富振興センタ…

鏡野町 布施神社

小田山城跡から下りて進路を西にとり、岡山県苫田郡鏡野町富西谷にある布施神社に赴いた。 布施神社 鳥居 鳥居を潜ってすぐ右側に、欅の巨木がある。樹齢約500年の欅である。岡山県下三指に数えられる欅の巨木であるという。 神門 布施神社の祭神は、素戔嗚…

小田草神社 小田草城跡 後編

小田草神社の境内には、一の谷稲荷神社が祀られている。 一の谷稲荷神社の社殿は、鏡野町指定文化財となっている。 一の谷稲荷神社覆屋 一の谷稲荷神社本殿は、覆屋に覆われている。 覆屋は拝殿と一体化している。全体が朱色に塗られ、いかにもお稲荷さんら…