如意山正法寺

 誓願寺の参拝を終えて、レンタサイクルで三都半島を南下する。

 また一山越えて、小豆島町吉野にある真言宗の寺院、如意山正法寺に赴いた。

如意山正法寺

山門

 この寺は、祐算上人により、萬治三年(1660年)に開山された。

 現在の建物は、元禄年間(1688~1704年)に増遍上人が再建したと言う。割合新しい寺である。

本堂

 広壮な本堂には、弘法大師を祀っている。

本堂内

弘法大師

 この寺で貴重なのは、大日堂に祀られている木造大日如来坐像と木造二天立像である。両方とも、香川県指定有形文化財となっている。

大日堂

大日堂の蟇股の彫刻

 大日堂内陣中央には、智拳印を結んだ金剛界大日如来坐像が安置され、その左右に持国天多聞天の二天立像がある。

 二天立像の前に高野槙が供えられてるので、二天立像は見えない。

木造大日如来坐像と木造二天立像

 木造大日如来坐像は、像高32.8センチメートルで、檜の一木造りである。細身の条帛や薄い衣文の彫刻が古式であり、10世紀末の制作と言われている。

 10世紀末というと、「源氏物語」が書かれた頃である。

木造大日如来坐像

 正法寺よりも歴史の古い像である。香川県下でも有数の古仏だ。

 そんな古い像が、どんな由来で、この小豆島で伝えられてきたのか。興味が湧くところである。

 脇仏の持国天多聞天も檜の一木造りである。武器と鎧に身を飾った粗豪な造りで、11世紀末か12世紀初頭に地方で作られた像と見られている。

大日堂に掲げられた大日如来の絵

 私は、金剛界大日如来真言、「おん あびらうんけん ばざらだとばん」をここで唱えた。

 真言は、人が口にするまでもなく、この宇宙の始まりから終わりまで、常に響き続けているのかも知れない。 

 古仏を目に納めて満足して寺を後にした。

 さて、自転車でもう一山越えなければならない。

 峠道の途中、土庄から池田まで一望できる場所があった。

池田湾の風光

池田方面

土庄方面

 あの土庄からここまで自転車で来たとは、我ながら信じ難い。

 海からの風を感じながら、先を急いだ。