資料館

手塚治虫記念館 後編

手塚治虫記念館は、地上2階、地下1階の三層建てであるが、階段の壁には日本の漫画の歴史を紹介するパネルが貼られている。 我が国の漫画の歴史の中で、漫画の始祖とされているのは、平安時代に鳥羽僧正が描いた「鳥獣人物戯画」である。 鳥獣人物戯画 日本…

手塚治虫記念館 中編

1960年代に入ると、高度経済成長の中で、漫画の世界では、妖怪などが出てくる暗い描写のものが流行り始める。 また、昭和41年には、「ウルトラマン」が放映され、怪獣や特撮ものがテレビを賑わし始めた。 そんな時代の昭和40年に、手塚は、「マグマ大使」の…

手塚治虫記念館 前編

巡礼街道の散策を一旦終えて、宝塚市武庫川町にある手塚治虫記念館を訪問した。 手塚治虫は、言わずと知れた昭和を代表する漫画家だが、その手塚の出身地である宝塚市に平成6年に建てられたのが、この記念館である。 手塚治虫記念館 記念館の前には、漫画「…

名塩

有馬の史跡巡りを終え、山川出版社「兵庫県の歴史散歩」上巻に載っている神戸市内の史跡は全て巡り終わった。 これからは、阪神間の史跡を巡ることになる。以前芦屋市の史跡を巡ったが、今後の摂津の史跡巡りでは、芦屋市、西宮市、宝塚市の史跡を巡ることに…

極楽寺 太閤の湯殿館

温泉寺の東隣に、浄土宗の寺院、極楽寺がある。 極楽寺 極楽寺の創建は古く、推古天皇二年(594年)に聖徳太子により建てられたと伝わっている。 それが本当なら、恐らく有馬で最古の寺院になると思われるが、これはあくまで伝説の領域の話だろう。 極楽寺は…

諭鶴羽神社 中編

本殿に向かって左奥には、末社の水(すい)神社がある。その左側に、建武元年(1334年)銘の五輪卒塔婆町石がある。 水神社 水神社の祭神は、水源の守護神である弥都波能売(みづはのめ)命である。 諭鶴羽山に降った雨は、麓の人々の生活のための水源になっ…

小豆島尾崎放哉記念館

鹿島明神社から東に走り、土庄の町に戻って来た。 土庄町本町甲にある小豆島尾崎放哉(ほうさい)記念館を訪れた。 小豆島尾崎放哉記念館入口の句碑 尾崎放哉は、明治18年に鳥取県邑美郡吉方町に生まれた。 鳥取県立第一中学校を卒業後、第一高等学校、東京…

青原山永澤寺 後編

玉兎門を潜って真っ直ぐ北上すると、妙高閣という建物がある。 妙高閣 妙高閣は、鉄筋コンクリート製の巨大な建物で、内部には観音堂、坐禅堂、ガンダーラ彫刻展示室がある。 中に入ると、矢張り目に付くのは高さ約9.2メートルの巨大な大観世音菩薩像である…

旧九鬼家住宅資料館 後編

客室の南側には仏間があるが、今は仏壇は撤去されている。 その代わり、旧九鬼家住宅の図面や、九鬼隆範が設計時に使用したと思われる製図道具が展示されている。 仏間と客室の間の欄間の意匠 九鬼家住宅の図面の複製 製図道具 建物の南側には、東から順番に…

旧九鬼家住宅資料館 前編

御霊神社から三田市街に戻り、三田市屋敷町にある旧九鬼家住宅資料館を訪問した。 旧九鬼家住宅資料館 旧九鬼家住宅資料館は、天保六年(1835年)に越賀家の三男として屋敷町に生まれ、明治3年に三田藩の家老九鬼隆継の養子になった九鬼隆範(りゅうはん)…

津山市の弥生遺跡 後編

津山弥生の里文化財センターの2階には、津山市内の古墳から発掘された埴輪が展示されている。 埴輪というと、殆どの人が人型埴輪を想起すると思うが、初期の埴輪は土管のような形をした円筒埴輪であった。 円筒埴輪 円筒埴輪は、古墳の上部に、半ば地面に埋…

津山市の弥生遺跡 中編

弥生時代に田を耕すのに使われていた鋤、鍬といった道具は、木製品であった。 鍬 鋤 えぶり 木製品には、硬い樫の木が使われた。いかに硬い木を使っていたとしても、金属器の方が遥かに作業能率が上だろう。 当時の農業は、大変だったろう。 弥生時代の田は…

津山市の弥生遺跡 前編

11月8日に、今まで行きそびれていた津山市の弥生時代の遺跡と津山弥生の里文化財センターを巡った。 「岡山県の歴史散歩」に載っている遺跡名を、文化財総覧webgisのサイトで検索して位置を特定し、訪問した。 津山盆地からは、弥生時代の遺跡が多く発掘さ…

大鳴門橋 

福良から西に走り、大鳴門橋を観に行った。 大鳴門橋は、昭和60年6月に開通した、鳴門海峡上に架かる吊り橋である。 鳴門岬の先端に、道の駅うずしおがあるが、道の駅うずしおが現在改装工事中で、そこまでの道が通行止めになっていた。 鳴門岬の途中にある…

加藤文太郎記念図書館

浜坂先人記念館「以命亭」の東隣には、用水路を挟んで加藤文太郎記念図書館が建っている。 通常の図書館の中に、浜坂町出身の登山家加藤文太郎の記念室が設置されている。 加藤文太郎記念図書館 記念室内には、山や登山に関する書籍が開架公開されている。 …

浜坂先人記念館「以命亭」 後編

店の間の奥は仏間になっており、立派な仏壇が備え付けられている。 仏間 仏壇 仏壇中央には釈迦如来座像が祀られている。 仏間は、この家の中央にある。仏教がこの家の精神的中心にあったということだろう。 店の間の東側には居間が2部屋南北に連なっている…

浜坂先人記念館「以命亭」 前編

8月20日に但馬の史跡巡りを行った。兵庫県美方郡新温泉町を巡る旅であった。 私が住む西播磨から新温泉町に行くには、播但連絡道路を使って豊岡に出てから西に行くよりも、鳥取自動車道を使って鳥取に出てから東に行った方が早く安あがりである。今回もその…

鳥取市歴史博物館やまびこ館 後編

奈良時代に入ると、律令制が布かれ、因幡にも国衙(国庁)ができた。 国衙には、中央から国司(守)、次官(介)、補佐(掾)といった役職の者が派遣され、地元豪族出身者を郡司、郷司として採用し、地方政治が行われた。 都から近い因幡には、大伴家持や在…

鳥取市歴史博物館やまびこ館 前編

鳥取東照宮のある樗谿公園の一角に、鳥取市内の遺跡や古墳などから発掘された遺物を収蔵・展示する鳥取市立歴史博物館やまびこ館がある。 鳥取市歴史博物館やまびこ館 私は、この建物の中にあるレストラン「ヒストリア」で昼食を摂った。 この日の午前中、炎…

旧犬養家住宅 犬養木堂記念館

吉備津神社西側の駐車場の奥に、備中国賀陽郡庭瀬村川入(現岡山市北区川入)出身で、第29代内閣総理大臣になり、昭和7年に発生した五・一五事件で殺害された政治家犬養毅の銅像が建っている。 犬養毅の銅像 犬養家(元は犬飼といった)の祖先の犬飼健命は…

岡山県古代吉備文化財センター 後編

日本が統一国家への道を歩みだした西暦250年ころに、最初期の前方後円墳が大和に登場する。 いわゆる古墳時代は、この頃に始まる。 その後、前方後円墳は日本全国に広がっていくが、この前方後円墳の拡散過程が大和王権の日本統一の過程と重なっている。 だ…

中山茶臼山古墳 岡山県古代吉備文化財センター 前編

吉備津神社の裏から吉備の中山に上っていく自動車道が始まっている。 その道を使って吉備の中山を上がっていくと、岡山県の遺跡から発掘された文化財を収蔵展示する岡山県古代吉備文化財センターがある。 岡山県古代吉備文化財センター ここの駐車場に車をと…

芦屋市立美術博物館 芦屋市立谷崎潤一郎記念館

兵庫県芦屋市伊勢町にある芦屋市立美術博物館は、芦屋ゆかりの美術家の作品や、芦屋市内の遺跡から発掘された遺物を収蔵展示する博物館である。 芦屋市立美術博物館 私が訪れた時は、ここで、「芦屋の美術、もうひとつの起点 伊藤継郎」という特別展が開催さ…

滴翠美術館 芦屋廃寺跡

会下山遺跡から下りて、芦屋市山芦屋町にある滴翠(てきすい)美術館を訪れた。 滴翠美術館 ここは、戦前に大阪財界で活躍した山口吉郎兵衛が収集した茶道具の銘品を収蔵展示する美術館である。 滴翠美術館 私は今まで2回ほど、お茶を習い、自宅で陶芸をし…

白鶴美術館 徳本寺

本住吉神社奥宮の参拝を終え、神戸市東灘区住吉山手6丁目にある白鶴美術館に向かった。 白鶴美術館 白鶴美術館は、美術への造詣が深かった白鶴酒造7代目嘉納治兵衛が、所蔵する美術コレクションを収蔵展示するために、昭和9年に開館した私設美術館である…

菊正宗酒造記念館

白鶴酒造資料館の見学を終え、そこから少し東の神戸市東灘区魚崎西町1丁目にある菊正宗酒造記念館を訪れた。 菊正宗酒造記念館 菊正宗は、灘五郷の一つ御影郷に属する清酒の銘柄である。 菊正宗酒造記念館の旧記念館は、万治二年(1659年)に本嘉納家本宅敷…

白鶴酒造資料館 後編

麹室で作られた麹は、蒸米と共に半切桶に入れて、水に吸着させる。 麹と蒸米が水によく吸着したころ、2人の作業員が山卸という棒櫂でかき混ぜる。麹、蒸米、水をすり潰して、糖化を早める作業である。酛摺りという作業である。 こうして酛(もと)又の名酒…

白鶴酒造資料館 前編

東求女塚古墳の見学を終え、南に下り、神戸市東灘区住吉南町4丁目にある白鶴酒造資料館を訪れた。 白鶴酒造資料館 白鶴酒造資料館は、寛保三年(1743年)に創業した白鶴酒造株式会社が、近代化以前の酒造りの工程を紹介、展示するために作った資料館である…

末代山温泉寺 その4

温泉寺宝物館には、世界最古の印刷楽譜である文明四年(1472年)版、声明(しょうみょう)集が展示されている。 文明四年(1472年)版 声明集 声明とは、お経に節をつけて唱えるもので、僧侶が儀式の時に仏の教えを賛嘆するために唱える仏教音楽である。 こ…

末代山温泉寺 その3

麓の薬師堂から石段を上がって、大師山の中腹に至る。 そこには、本堂の大悲殿や本坊、多宝塔、温泉寺宝物館などの寺の主要な建物がある。 今日は、本堂の解体修理に伴い、寺が所蔵する仏像、仏画、古文書等を収蔵展示するために昭和46年に建てられた温泉寺…