但馬

天龍山正福寺 

湯村温泉の町並みの西端の、石段を上がったところにあるのが、天台宗の寺院、天龍山正福寺である。 なお、今回の記事で但馬の史跡巡りは終了である。令和2年9月に始まって、約3年で「兵庫県の歴史散歩」下巻に載る但馬の史跡を踏破した。 播磨、備前に次…

湯村温泉

但馬を代表する温泉地である湯村温泉は、嘉祥元年(848年)に唐での修行を終えて帰朝した慈覚大師円仁が、山陰地方を通過した際に発見したとされている。 慈覚大師円仁像と温泉モニュメント 湯村温泉の周辺には、火山がない。それなのに何故温泉が湧くのか。…

熊野山善住寺

楞厳寺の参拝を終え、湯村温泉に向かって南下する。 湯村温泉の手前の兵庫県美方郡新温泉町熊谷にある真言宗の寺院、熊野山善住寺を訪れた。 熊野山善住寺 この寺は、長保元年(999年)に覚増上人が、全国行脚の途中にこの地に立ち寄り、熊野三山に地形が似…

仏頂山楞厳寺

観音山から下山し、東進して新温泉町田井にある臨済宗の寺院、仏頂山楞厳(りょうごん)寺に赴いた。 楞厳寺の参道に建つ石柱 山門 この寺は、京都天龍寺の夢窓国師の孫弟子に当たる南溟禅師が延文五年(1360年)に開山した。 その後足利将軍家や但馬山名氏…

観音山相応峰寺 後編

三柱神社の脇から観音山への登山道が始まる。 暑い中、気を引き締めて登り始めた。 観音山登山道の登り口 登山道の道端には、ミニ西国三十三所観音霊場の観音菩薩像と、ミニ四国八十八ヶ所霊場の石仏が祀られている。 登山道 道端の石仏 砂岩製の石仏は、微…

観音山相応峰寺 前編

加藤文太郎記念図書館から東に行き、岸田川を渡ると、清富(きよどめ)の集落がある。 集落の北側にある観音山は、若き日の加藤文太郎が何度も登った山だという。 観音山 観音山の麓には、天台宗の寺院、観音山相応峰寺がある。山上には、相応峰寺の奥の院の…

加藤文太郎記念図書館

浜坂先人記念館「以命亭」の東隣には、用水路を挟んで加藤文太郎記念図書館が建っている。 通常の図書館の中に、浜坂町出身の登山家加藤文太郎の記念室が設置されている。 加藤文太郎記念図書館 記念室内には、山や登山に関する書籍が開架公開されている。 …

浜坂先人記念館「以命亭」 後編

店の間の奥は仏間になっており、立派な仏壇が備え付けられている。 仏間 仏壇 仏壇中央には釈迦如来座像が祀られている。 仏間は、この家の中央にある。仏教がこの家の精神的中心にあったということだろう。 店の間の東側には居間が2部屋南北に連なっている…

浜坂先人記念館「以命亭」 前編

8月20日に但馬の史跡巡りを行った。兵庫県美方郡新温泉町を巡る旅であった。 私が住む西播磨から新温泉町に行くには、播但連絡道路を使って豊岡に出てから西に行くよりも、鳥取自動車道を使って鳥取に出てから東に行った方が早く安あがりである。今回もその…

香美町 御崎集落

帝釈寺から兵庫県道4号線を西進すると、余部(あまるべ)鉄橋で有名な兵庫県美方郡香美町香住区余部の集落に至る。 余部の集落から北上し、日本海に突き出た半島の突端にある集落を目指した。 平家の落人集落とされる御崎集落のことである。 御崎集落のある…

喜見山帝釈寺

大乗寺の見学を終え、次は兵庫県美方郡香美町香住区下浜にある真言宗の寺院、喜見山(きみいさん)帝釈寺を訪れた。 喜見山帝釈寺 この寺院の創建は古い。 遠く6世紀末、崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏が争った際、物部氏により多数の仏像が難波潟(大阪湾…

亀居山大乗寺 後編

山門を潜ると真正面に客殿の玄関がある。唐破風が付いた玄関である。 客殿 唐破風下の虹梁の上に、6頭の唐獅子の乱舞の彫刻がある。 6代目中井権次橘正貞の得意の作である。 唐破風下の唐獅子の彫刻 実に細かく彫られた彫刻だ。 玄関の障子の上の欄間の彫…

亀居山大乗寺 前編

円通寺から南下し、国道178号線に出る。国道178号線を西進し、しばらく行くと、香住道路という無料のバイパスにそのまま繋がる。 この道は、工事中の山陰近畿自動車道の一部で、現時点では兵庫県美方郡新温泉町まで延びている。 いずれ北近畿豊岡自動車道や…

萬年山円通寺

城崎の温泉街から兵庫県道9号線を西進し、兵庫県豊岡市竹野町須谷にある臨済宗南禅寺派の寺院、萬年山円通寺を訪れた。 円通寺下馬門 この寺は、康応元年(1389年)に月庵禅師が開山した。山名宗全の祖父・山名時義と、父・山名時煕が伽藍の整備に携わった…

末代山温泉寺 その5

温泉寺宝物館を出て、すぐ西側にある本堂に向かう。 本堂は別名大悲殿という。温泉寺の中興清禅法印が、至徳四年(1387年)ころに建立した建物で、但馬で最も古い建物である。 本堂(大悲殿) 和様、唐様、天竺様の三様式が絶妙に融和した折衷様式の入母屋造…

末代山温泉寺 その4

温泉寺宝物館には、世界最古の印刷楽譜である文明四年(1472年)版、声明(しょうみょう)集が展示されている。 文明四年(1472年)版 声明集 声明とは、お経に節をつけて唱えるもので、僧侶が儀式の時に仏の教えを賛嘆するために唱える仏教音楽である。 こ…

末代山温泉寺 その3

麓の薬師堂から石段を上がって、大師山の中腹に至る。 そこには、本堂の大悲殿や本坊、多宝塔、温泉寺宝物館などの寺の主要な建物がある。 今日は、本堂の解体修理に伴い、寺が所蔵する仏像、仏画、古文書等を収蔵展示するために昭和46年に建てられた温泉寺…

末代山温泉寺 その2

山門を潜って左に行くと、文化年間(1804~1818年)に再建された薬師堂がある。 薬師堂 本瓦葺で唐破風付きの宝形造である。 この薬師堂で特徴的なのは、丹波の名彫物師一統の、中井権次一統による彫刻が施されていることである。 唐破風下の龍と天女の彫刻…

末代山温泉寺 その1

城崎温泉の温泉街の西端に位置するのが、真言宗の寺院、末代山温泉寺である。 大師山の山頂に奥の院があり、中腹に本堂、多宝塔、温泉寺宝物館がある。麓には薬師堂があり、薬師堂の周辺が薬師公園という名の公園になっている。薬師公園から大師山山頂までは…

城崎麦わら細工伝承館

城崎文芸館から薬師公園に向かって西に歩くと、城崎の伝統工芸品である城崎麦わら細工の古い作品を収集展示し、技術の伝承発展の拠点となっている城崎麦わら細工伝承館がある。 城崎麦わら細工伝承館 ここでは、麦わら細工の制作体験をすることが出来る。 麦…

城崎文芸館

城崎温泉の中心近くにあるのが城崎文芸館である。 城崎文芸館 城崎文芸館には、城崎を舞台とした小説「城の崎にて」を書いた志賀直哉と白樺派に関する資料や、城崎温泉に関する資料などが展示してある。 文芸館の前には足湯がある。温泉街ならではの設備であ…

城崎温泉

気比が浜から円山川沿いを南下し、円山川の支流である大谿川沿いに温泉街が続く城崎温泉に入った。 大谿川と城崎温泉の町並み 大谿川沿いに柳が連なり、その左右に温泉や旅館や店舗が並ぶ城崎温泉の街並みは、いかにも温泉街という風情を持っている。 大谿川…

絹巻神社

5月21日に但馬の史跡巡りをした。 最初に訪れたのは、兵庫県豊岡市気比にある絹巻(きぬまき)神社である。 絹巻神社 絹巻神社は、但馬を南北に縦断するように祀られている但馬五社の一つである。但馬五社は、粟鹿神社、養父神社、出石神社、小田井縣神社と…

玄武洞ミュージアム その4

古生代最後のペルム紀と中生代最初の三畳紀の間に、地球の酸素濃度が低下し、生物の大量絶滅が起こったが、この原因は現在でもまだ特定されていない。 酸素濃度が下がったため、肺の前後に気嚢を持ち、呼吸後の空気を肺に溜めず、効率的に酸素を取り入れるこ…

玄武洞ミュージアム その3

玄武洞ミュージアムの2階には、生命が誕生してから人類誕生に至るまでの生命の歴史に関する資料が豊富に展示してある。 本物の化石もあれば、レプリカもあるが、とにかく見ごたえのある展示であった。 我々の住むこの惑星、地球が誕生したのは、約46億年前…

玄武洞ミュージアム その2

玄武洞ミュージアム1階には、豊岡杞柳(きりゅう)細工の歴史資料を展示し、製造体験が出来るコーナーがある。 豊岡杞柳細工は、平成4年に経済産業省から伝統的工芸品に指定された。 豊岡杞柳細工 杞柳は、古くから豊岡平野の湿地に自生するコリヤナギのこ…

玄武洞ミュージアム その1

玄武洞公園の前にある玄武洞ミュージアムは、地質や岩石に関する資料、豊岡杞柳細工に関する資料、恐竜をはじめとする古生代、中生代、新生代の生物の化石などを展示する資料館である。 玄武洞ミュージアム 平成30年にオープンしたようだが、ここが意外と見…

玄武洞公園 後編

玄武洞から南に少し歩くと、柱状節理が綺麗に残る青龍洞がある。 青龍洞 柱状節理が湾曲しているが、溶岩が噴出した際の向きなどで、柱状節理の方向が変わるようだ。 それにしても不思議で独特な風景だ。 玄武洞の北側には、小規模な白虎洞がある。 白虎洞 …

玄武洞公園 前編 

酒垂神社の参拝を終えると、円山川沿いを北上した。 そして豊岡市赤石にある玄武洞公園を訪れた。 玄武洞公園 玄武洞公園には、玄武岩の柱状節理を見学できる玄武洞、青龍洞、白虎洞、北朱雀洞、南朱雀洞という5つの柱状節理露出ヵ所がある。 これら玄武岩…

酒垂神社

兵庫県立コウノトリの郷公園から東に行き、豊岡市法花寺にある酒垂(さかたる)神社を参拝した。 酒垂神社 酒樽に音が通じるこの神社の創建は、約1300年前と伝わる。 当時この地を治めていた郡司、物部韓国連久々比(もののべからくにのむらじくくひ)命が、…