伝説の鬼・温羅(うら)が差し上げた、鬼の差し上げ岩と呼ばれる巨岩群である。

鬼の差し上げ岩には、恵鎧上人と刻まれた石仏や、不動明王の摩崖仏を祀った祠がある。


祠に近寄って見ると、岩肌に不動明王が刻まれている。
不動明王像の前には、「岩屋寺奥之院 奉修毘沙門天王秘法供如意円満祈願」と書かれた奉納板が置かれている。



祠の奥には、岩窟がある。岩窟の天井岩には、温羅が岩を差し上げた時の手形と言われる穴が空いている。


それにしても鬼の差し上げ岩は巨大である。岩屋寺が開基される前から、山上の磐座として信仰されてきたことであろう。


岩屋寺の裏山には、四国八十八箇所霊場を模した石仏が路傍に置かれている。

今ではこうした石仏を巡る人も少なくなってきているだろう。だがこれも残ってほしい日本の原風景である。
鬼の差し上げ岩を回ると、そこから岩屋寺裏山の巨石巡りの遊歩道が始まっている。
鬼の差し上げ岩の次にあるのは、鬼の餅つき岩である。



鬼の餅つき岩は、上が平らで広々とした花崗岩である。
中心部で岩が真っ二つに割れている。
この広くて平らな岩の上で鬼が餅つきをしたところを想像して付けられた名だろう。
鬼の餅つきを想像すると、少し微笑ましい気分になる。
次にあるのは、鯉岩と呼ばれる巨岩である。


確かに正面から見ると、鯉の顔がこちらを向いているように見える。
こういった巨石群のある山は、ほぼ間違いなく過去に修験者が修行した山である。
寺が廃れてしまっても、これら巨石群が残っている限り、かつての修験者の祈願の形跡が、この山のどこかに残っているような気がする。