山王神社の参拝を終え、車を西に走らせて、淡路市山田乙にある巨石・俵石に赴いた。俵石の中には、小さな祠が祀られている。俵石神社と呼ばれている。
山田小学校跡から道を南に行くと、電信柱が見えてくる。そこから西に入る細い道がある。
道の入口近くに立つ電信柱に、小さい字で「この先俵石」と書かれた案内表示がある。
細い道を進むと、すぐに俵石神社の鳥居が現れ、そこから急な階段が始まる。
俵石までの道は、急傾斜で、なおかつ途中で崩れたところもあり、滑落の危険性がある道だった。訪れる方は用心して頂きたい。
私も途中すべりながら、何とか俵石まで辿り着いた。
俵石は、米俵を立てたような姿をしている。中に米が沢山入っているように見えることからその名が付いたそうだ。
石の下には小祠があり、神様が祀られている。
こんな高い石が、急斜面から突き出て倒れずに立っているところを見ると、地中に石の大部分が埋まっているものと思われる。
俵石は、古くから農業神として信仰されていた。明治初年には俵石参りが流行し、近郷の村からも参拝者が数多く訪れたらしい。
近くの小学校が閉校となり、登山道も崩れ、人気のない山中に置き去りになったかのような俵石だが、太古からその姿は変わらない。人の世の移ろいにかかわらず、俵石はこれからもこの場所に屹立し続けることだろう。
秋葉山山頂には、秋葉神社という小さな社があり、その裏に交合石という巨石がある。
この秋葉山の登山口を探したが、なかなか見つからなかった。山頂北側の山麓に、建設会社の資材置き場があるが、そこから山に向かう道が伸びていた。
歩くとすぐに山頂に至る。山頂に近くには、大きな石が散在していた。
山頂には、小さな祠が建っている。秋葉神社である。
祠の前には、小さな石仏も建っている。花崗岩を彫って造られたものだ。
秋葉神社の裏側に回ると、昨日紹介した夫婦岩のように、重なり合った巨岩がある。これが交合石である。
この交合石、近寄って見ると、花崗岩であった。
花崗岩は、マグマが地中で冷え固まって、長い年月の経過に従って地上に露出してきたものである。
元々は堅固な岩石だが、気温の変化を受けることで石が膨張、収縮を繰り返すうちに亀裂が入り、崩れていく。崩れた石はさらに細かく風化して、最後は真砂土になる。
この巨石も、少しづつ風化が進み、いずれは真砂土になって消えていくことだろう。
この石が、遥か昔のマグマの対流運動から出来て、長い時を経て山上に露出するようになり、最後は砂に帰っていくという長大な時の流れを考えた。
人間のなりわいの儚さをしみじみと感じた。