淡路市 浄瀧寺

 志筑神社の参拝を終え、次なる目的地の淡路市生穂にある真言宗の寺院、浄瀧寺を目指す。

 カーナビゲーションを設定して、最短距離を走ったが、異様に細い山道を案内され、恐怖のドライブをすることになった。

 以前常隆寺を訪れた際も、細い山道をひやひやしながら行ったが、今回はそれ以上であった。

 軽トラがようやく通れる程度の道を、スイスポで恐る恐る走った。幸い対向車はなく、何とか浄瀧寺の山門に辿り着いた。

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山門

 浄瀧寺は、元々は高瀧寺という寺だったが、明治45年に真言宗浄土寺と合併し、今の名になった。

 山門を潜って境内に入ると、小さな本堂がある。

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本堂

 本堂は窓が開け放されており、風が堂内を通り抜けている。

 浄瀧寺の本堂には、兵庫県指定文化財の木造薬師如来坐像と、木造胎蔵界五仏坐像がある。

 本堂を覗くと、内陣の奥の宮殿内に安置された仏像群が見える。

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本堂内陣

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 内陣を囲む四本の柱は、いい飴色をした、木目が美しい欅の柱であった。修法壇の奥に宮殿があるが、扉が開けられていて、中の仏像を拝むことが出来る。

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宮殿の仏像

 中央の最も大きな仏像が、大日如来坐像である。その左右に2体の仏像が見えるが、実はその2体の背後にもう2体の仏像がある。

 それぞれ宝幢(ほうどう)如来、開敷華王(かいふけおう)如来無量寿如来、天鼓雷音(てんくらいおん)如来である。中央の大日如来と合わせて、胎蔵界五仏とされる。鎌倉時代初期の仏像であるそうだ。

 胎蔵曼荼羅の中央に描かれているのが、この五仏である。

 修法壇上の多宝塔に隠れているが、大日如来坐像の手前に木造薬師如来坐像がある。こちらは平安時代の仏像だそうだ。その左右にある小さな仏像は、観音菩薩勢至菩薩であろう。

 黒くくすんで時代のついたいい仏像だ。

 境内には、本堂に接続して庫裡がある。

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庫裡

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 浄瀧寺には、至徳二年(1385年)の銘のある圓明寺鰐口がある。圓明寺は、浄瀧寺の前身の高瀧寺の旧名である。

 浄瀧寺は、棚田が続く農村地帯の、山の中腹にある寺院である。この辺りからは、対岸の和泉から紀州にかけての山々もよく見える。

 私の史跡巡りの第一段階の目標である高野山に、一歩ずつではあるが近づいている気がする。