拝殿と護法堂の参拝を終えて、宝稲荷大明神への石段を上がって行く。
ここを上がった先にある宝稲荷大明神の前にも、参拝客が列をなしている。
私もお稲荷さんに何事をか祈った。お稲荷さんのご利益は、確かにあると最近感じ始めている。
祈ったことが実現したことがあったのである。
さて、次は本尊大日如来坐像を祀る本堂に向かうが、本堂の手前には、平成20年に開館した史料館がある。
史料館は、鉄斎美術館別館でもある。清荒神清澄寺には、幕末から大正時代に活躍した南画家富岡鉄斎の美術館がある。史料館は、その別館である。
史料館と本堂の間には、池苑がある。
池苑には緋鯉が泳ぎ、その奥には石組みの滝口がある。
池苑の向かいには、一願地蔵尊がある。
金銅製の巨大な像で、明治24年に多くの信徒たちの寄付で建てられた。
柄杓を使って一願地蔵尊の頭上まで水をかけ、一つの願いを祈ると、それが叶うという。
この一願地蔵尊の前にも行列が出来ていた。柄杓で一生懸命地蔵尊に水をかけている。私は願をかけなかった。
本堂は、宝形造の新しい建物である。
本堂の前も参拝客でごった返している。本尊大日如来坐像は、黒光りする金剛界大日如来の像であった。この像は、国指定重要文化財である。
参拝する衆生とこの本尊が、実は一体であるというのが、真言宗の教えである。その中では、祈るものと祈られるものとの間に差はない。人々は自分に祈っていることになる。
また清荒神清澄寺には、他に絹本著色千手観音菩薩像、絹本著色釈迦三尊像といった国指定重要文化財がある。
本堂の脇から、龍王滝への道が始まる。
この道を進むと、左手に本堂の背面とその奥の練行堂が見える。
この奥は、清荒神清澄寺の聖域である。
寺社には、その寺社の核心となる部分がある。清荒神清澄寺の核心は、この奥にあるような気がする。