岡山後楽園 その5

 後楽園の中心に、高さ6メートルの築山がある。唯心山である。

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唯心山

 唯心山は、池田綱政の子、池田継政が築かせたものである。ということは、後楽園が出来た時には、この山はまだなかったということになる。

 唯心山に登ると、広大な園内を一望することが出来る。

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唯心堂と石組

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唯心山の頂上

 唯心山への登り路には、踏み石が置かれ、中腹に六角形の唯心堂がある。

 頂上から四囲を見渡すと、後楽園の全てが眼下に見える。

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後楽園東側、井田、茶畑のあたり

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後楽園中央部、沢の池

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後楽園西部、鶴鳴館、延養亭

 この高さから眺めると、鶴鳴館、延養亭の背後にある高層マンションも遠望できる。

 また、遥か東側の操山の方を見ると、中腹に安住院多宝塔の屋根が見える。昨年10月12日の当ブログ記事「禅光寺安住院」で紹介した、後楽園の借景にするために建てられた多宝塔である。

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安住院多宝塔

 唯心山の麓には、大きな躑躅の群落があり、その間に石で組まれた空滝がある。躑躅が咲く季節は、さぞかし美しいことだろう。

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躑躅と空滝

 唯心山の東側には、亭舎の中央に水路を通し、水路に美しい色の石を配した流店という建物がある。

 戦災を免れた建物で、藩主らが庭廻りの際の休憩所として使用した建物だという。

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流店

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流店の中心の水路

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水路の中に置かれた石

 一階は吹き抜けになっている。夏になると、藩主らは板の間に座って、素足を水路の水につけて涼んだことだろう。

 流店を通過した水は、曲水に合流し、八橋の下を流れる。

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八橋

 八橋は、八枚の板を互い違いに組み合わせて作った橋である。

 その側には、蘇鉄畑がある。蘇鉄は、主に南西諸島に生育する植物であるが、多数生えることにより、後楽園に南国的な色合いを加えている。

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蘇鉄畑

 流店から東に歩くと、花交の池がある。花交の池は、園内を流れる曲水が最後に行きつく場所で、曲水の水は、花交の池から旭川に戻る。

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花交の池

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花交の滝

 園内を経めぐった曲水は、花交の滝となって池に流れ込む。花交の池は、曲水より低い位置に水面があるようだ。

 花交の池の隣には、桜林や梅林がある。私が訪れた日は、梅が咲いていた。梅を観ると、めでたい気分になる。

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梅林

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梅の花

 花交の池の南側には、茶祖堂がある。

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茶祖堂

 茶祖堂は、幕末に家老の下屋敷にあった利休堂を、明治20年(1887年)に移築したものである。

 茶祖堂は戦後再興された。岡山出身で、日本に茶を伝えた栄西禅師を祀っていたことから、茶祖堂と呼ばれるようになったらしい。

 茶畑の方に歩いていくと、新殿という建物がある。

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新殿

 新殿は、幕末に建てられた建物で、床が高くなっており、茶畑越しに園内の風景を眺めることができる。

 新殿の前の杭の上に、ジョウビタキがとまっていた。

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ジョウビタキ

 最近水鳥を眺めると、心が落ち着くようになってきた。水鳥は近づいても逃げることなく悠然と泳いでいることが多い。水鳥ウォッチは楽しいものである。

 水鳥以外の普通の野鳥は、警戒心が強くて近づくとすぐに逃げてしまう。なので、その姿を見て何の鳥か認識するのはなかなか難しい。

 野鳥の名前を覚えて、ぱっと見て何の鳥かわかるようになったら、野鳥の観察も面白いだろうなと思い始めた。

 茶祖堂の南側には、休憩場所となっている広場がある。そこから、旭川対岸の岡山城天守を望むことが出来る。

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後楽園南端から眺めた岡山城天守

 岡山城天守も、後楽園の眺めの一部になっている。

 天下の名園後楽園の見学を終え、岡山城に向けて歩き始めた。