書籍

倚松庵 後編

倚松庵は2階建てである。1階廊下の中央に階段が付いている。 食堂から見える階段 階段 階段は、当時の日本家屋のものにしては、それほど急ではない。 2階には、東から順に8畳和室、6畳和室、4.5畳和室の3部屋がある。 階段を上がると2階の廊下があり…

倚松庵 中編

谷崎が昭和18年から昭和23年にかけて執筆し、昭和24年に全巻を出版した大作「細雪」は、谷崎が昭和11年から昭和18年まで住んだ倚松庵での生活を題材にしている。 「細雪」の主役は、大阪船場の商家蒔岡家出身の四人姉妹である。 婿養子を迎えて船場の蒔岡家…

倚松庵 前編

神戸市東灘区住吉東町1丁目にある谷崎潤一郎の旧居・倚松庵(いしょうあん)を訪れた。 倚松庵 倚松庵は、昭和4年に建てられた和風建築で、谷崎が昭和11年11月から昭和18年11月までの7年間にわたり住んだ家である。 元々は現在地から約150メートル南に建…

「倒壊する巨塔」

西暦2001年9月11日に発生したいわゆるアメリカ同時多発テロ事件から20年が経過した。 印象的な事件を回顧するときには、「あの時自分は何をしていたか」という記憶も同時に浮かび上がってくるものだが、私の場合も同事件を知った時に自分がどこで何をしてい…

民主主義

昨年私が読んだ本の中で、最も感銘を受けた本は、角川文庫の「民主主義」である。この本は、文部省が中学高校用の教科書として、昭和23~24年にかけて上下2冊を出版したものを、合冊して文庫化したものである。中学高校用の教科書であるため、理解しやすさ…

復活の日

大学時代にSF作家になりたいと思ったことがある。 三島由紀夫に、SF小説の姿を借りた「美しい星」という小説がある。自分たちが宇宙人だという思い込みを抱いた家族が、核戦争で滅亡しそうな人類を救おうと奔走する様を描いた小説である。もし普通の人間が、…

「大漢和辞典」

4月12日の「鷗外全集」の記事で、「大漢和辞典」についても触れた。 私が岩波書店版第三次「鷗外全集」第二刷を、北九州市八幡北区の古書店今井書店にネット注文して購入したのが、平成20年11月のことである。 さて「鷗外全集」を読み始めたが、あまりにも…

「鷗外全集」

新型コロナウイルスの影響で史跡巡りを自粛しているので、記事は史跡の紹介からしばらく離れる。 しばらく、マニアックな記事が続くかも知れない。多くの人に読んでもらうことなど最初から期待していない私の独り言のようなものなのだが、読んで参考にする方…

和辻哲郎生家、八葉寺

姫路市仁豊野(にぶの)にあるJR仁豊野駅の東側に、大正から昭和にかけて活躍した哲学者、倫理学者の和辻哲郎の生家がある。 和辻哲郎生家 和辻哲郎は、「古寺巡礼」「風土」「日本精神史研究」「日本倫理思想史」などの著作で知られる。 私が和辻の著作で最…

車漫画の金字塔

誰しも、長い年月の中で、人生が変わる経験をすることがある。 人からかけられた何気ない一言で変わることもあれば、ふと手にした書物の一文や雑誌の一つの記事で変わることもある。 私の場合、これから紹介する車漫画のおかげで、確実に人生が変わった。変…

艸玄書屋について。

史跡巡りのブログを始めて、まだ一度も史跡に出かけていない。私も勤め人で、給料をもらう身である。余暇がなければ史跡巡りは出来ない。 余暇がくるまで、しばらくは、出発前の準備の話が続く。 このブログのタイトルは、「SOGENSYOOKUのブログ」という無粋…

歴史散歩シリーズ

史跡巡りの最良のガイドブックは何か。それは、山川出版社の「歴史散歩シリーズ」だ。 男の子ならば、誰しも何かのコレクションに熱中した時代があるはずだ。 コレクションとは、物のコレクションだけではない。四国八十八か所巡りや西国三十三か所巡り、諸…