私のZC33Sスイフトスポーツが納車されたのが、平成31年3月14日である。
今年3月16日に法定一年点検を受けた。走行距離は、1万5千キロメートルを超えた。
当ブログは、史跡巡りのことを主に書いているが、史跡巡りには専らこのスイスポで行っている。当ブログは、スイスポと私が共に歩んだ記録でもある。これから半年ごとに、この車に乗っていて感じたことを書いていこうと思う。
この先ZC33Sスイスポには、出来るだけ乗っていきたいと思っている。目標の走行距離は、地球から月までの距離である38万キロメートルだが、このペースで走っても、25年以上かかる計算になる。それまで自分が生きているかどうかも分からない。
私は、購入時にスズキ安心メンテナンスパックというものに入った。メンテナンスパックの購入時の預かり金は38,800円だったが、27万円近く値引きしてもらったので、実質無料みたいなものだと思っている。
このメンテパックに入っていたら、最初の車検までの3年間の半年ごとのオイル交換が無料になる。そう考えるとお得なパックである。
私は3月16日に1年点検を受けたが、その時は、前輪のタイヤが半分くらい摩耗していた。点検が終わって暫くしてから、前輪のタイヤが新品に交換されていることに気が付いた。このタイヤ、1本2万円以上するタイヤである。それを何も言わずに2本無料で交換してくれたのである。このサービス精神には感銘を受けた。
さて、1年近く乗り続けて、この車のことが大体わかってきた。乗れば乗るほど「いい車だなあ」と感じる。いい車というか、考え抜かれたいい道具という風に感じる。
ZC33Sは、車雑誌などで、よく鍛えられたアスリートに例えられるが、これは実感する。コーナーが連続するワインディングを駆け抜ける時、右に左に荷重が連続してかかるが、適度にロールしながら、ふらつくことなく向きを変えていく。ハンドルを切れば切った分だけ曲がっていく。ボディがしっかりしているのか、ハンドリングににじみやブレがない。足腰がしっかりしているように感じる。筋肉質の足腰を持つアスリートだと感じるのはこの時だ。
車体が軽いので、ブレーキがきっちりと効く。コーナー入り口でブレーキを踏んで、荷重を前輪に移してからハンドルを切ることを心掛けているが、なかなか上手くいかない。そんな時、FFだからアンダーステアが出るかと思うが、不思議とアンダーは出ない。後輪の方から滑り始める。前輪が執拗に路面にくらいついている感じがある。「タイヤと会話しながら走る」ことができるのが、スポーツドライビングだと思うが、スイスポはそれが出来ているように思う。
車体が軽く、トルクの太いエンジンのおかげで、踏めば矢のように加速する。3速でもフルスロットルすると、若干前輪がホイールスピンしながら加速していく。最高出力の140馬力は、5500回転で出ている筈だが、どうも5000回転くらいでパワーに頭打ち感が出てくる。
6ATは、エンジンの保護のため、シフトダウンしたら4500回転以上になる場合は、シフトダウンを受け付けないようになっている。なので、コーナー手前でブレーキングをして、回転数が落ちてからパドルシフトでシフトダウンすることになる。
だがこの6ATはよく出来ていて、電光石火の素早さでシフトチェンジできるので、問題はない。
ボディに剛性があって、一つの塊のようにコーナリングしていく。ブレーキもガツンと効くし、踏めば2段ロケットのように加速する。レッドゾーン手前でパワーに頭打ち感が出ることを除けば、満足できる走行性能である。
車体がコンパクトで、軽いおかげで、入り組んだワインディングロードでは、この車の倍以上の値段がするハイパワー重量級のスポーツカーと遜色ない走りを見せるだろう。
その上踏んだ走りをしても燃費がさほど悪化しない。メーター表示では、リッター15.6キロメートルである。燃費重視の走りに徹すれば、もっと伸びるだろうが、そんなために買った車ではない。
こうすれば車がこう動く、という意図通りに車を操ることが出来るようになってきたら、車が自分の手に馴染んだ道具のように思えてくる。そうなると、ハンドルやドアノブに触れるだけで、走りの予感が体をよぎって、心が沸き立ってくる。
ハンドルを切る時に、D型ハンドルの下側を持って切るが、コーナリングの楽しさが分かってくると、本革が巻かれていないハンドル下側のプラスチック部分のひんやりした場所に触れるだけで、「ああこれからこの車が曲がっていく」と思えて楽しい。よく考えられたいい道具、というのはこんな時に思うのだ。
ヨーロッパでは、スイフトスポーツはマイナーチェンジして、マイルドハイブリッドを搭載するようになった。若干パワーが減って、重量が増えたようだ。二酸化炭素排出量を減らすため、今後純ガソリンエンジンのスポーツ系の車は減っていくだろう。
4月16日に日本でもスイフトはマイナーチェンジするらしい。主に安全装備が充実するようで、走行性能に変化はなさそうだ。
それでも、いずれ日本でも今のZC33Sのような車は販売できなくなるだろう。そうなると、希少価値が出てくると思う。
私は、当ブログの最初の記事で、ZC33Sを「生まれた時から自動車の古典」と呼んだが、古典的ホットハッチの走りを見せるこの車は、将来名車の殿堂入りをするだろう。
この車を生涯大切に乗り続けたいものだ。