ZC33S スイフトスポーツ 二年経過

 ZC33Sスイフトスポーツを平成31年3月に購入してから2年経過した。

 先日法定点検を受けたが、快調そのものである。走行距離も28,000キロメートルを超えた。

 しかし、2年の間にバンパーやホイールを擦ったり、車内のシートにものをこぼしたりということがあり、いつまでも新ピカのままというわけにはいかない。

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ZC33Sスイフトスポーツ 1/48ミニカー

 ZC33Sがデビューしたのは、2017年9月なので、もう3年半経つ。4年でフルモデルチェンジという時代ならば、モデル末期であるが、まだ暫くはフルモデルチェンジしないだろう。

 デビューして時が経ったが、最近でも自動車雑誌の記事や、ネット上の記事で、ZC33Sは時が経っても色あせない魅力的な車だ、という風に紹介されているのを目にする。

 私は今まで当ブログでZC33Sに乗った感想をしばしば書いてきたので、付け加えることはないが、この車の価値は軽量でありながらしっかりした重厚な走りを見せ、なおかつ掌の中で車を操っている感覚を持てるということに尽きる。

 世界中を見ても、今販売されている車の中で、特殊な軽量スポーツカーを除いて、1トンを切る車重でこれだけのパワーを持つエンジンを積んだ車にはお目にかかれない。

 いずれこの車も、自動車史に名を刻むことになるだろう。

 丁度1年前に、「ZC33Sスイフトスポーツ 一年経過」という記事を書いたが、この1年で世界の自動車を取り巻く状況が激変した。この流れは、もはや止めることが出来ないと思われる。それは、車の電動化ということである。

 あと15年もすれば、電気自動車が主流の時代になっているだろうが、そんな時代におけるZC33Sスイフトスポーツの価値について予測してみたい。

 この1年の間に、ヨーロッパを先頭に、世界各国で2030~2035年内燃機関車(ガソリン車、ディーゼル車)を販売禁止にするという方針が打ち出された。方針通りになれば、2030年代後半には新車で販売できるのは電動自動車だけとなる。特にヨーロッパ諸国は、2035年にはプラグインハイブリッド車ですら販売禁止にするという徹底ぶりである。

 日本は、2035年以降の内燃機関車販売禁止を目標に掲げているが、得意のハイブリッド車は電動車として扱い、国内での販売は認める方針である。

 しかし世界の潮流を見ると、ハイブリッド車は電動車には入れず、販売禁止にするという方が主流となっている。

 地球温暖化対策のためにこのようなことになったが、電気自動車は充電に時間がかかる、バッテリーが長持ちしない、電気自動車の生産ではガソリン車以上に二酸化炭素を排出する、どうせ電気を生産するのに二酸化炭素を排出する、電気自動車は必要な部品点数がガソリン車より少なく、下請けメーカーが多数倒産する、というような理由で、急速な車の電動化に反対する意見が多く出ている。

 私もエンジンを積んだ車が好きで、内燃機関を積んだ車が無くなるのは寂しい気がする。しかし温暖化対策という、経済や趣味よりも人命が大事という錦の御旗には誰も逆らえないので、電動化は止めることの出来ない世界の潮流となっている。

 先ほど述べた反対意見が事実で、電気自動車を使うことが経済的にも環境的にもあまりプラスにならないとしても、15年後には世界の主流は電気自動車になっているだろう。もちろん並行して、発電に化石燃料を使わないようにする取り組みも続けられるだろう。

 米欧中韓の自動車メーカーは、自動車の電動化に舵を切り、切磋琢磨して電池能力の向上や、電池の大量生産技術の確立、充電設備の規格統一などを進めている。

 私は毎日ネットで電気自動車関連のニュースをチェックしているが、毎日のように、とあるメーカーが将来販売する新しい電気自動車のことや、新しい電池工場がどこかに出来る予定だとか、新しい電池技術の目途がついたとかのニュースを目にする。今世界で最も激変し、技術がほぼ毎日前進しているのが、電動車の領域であることは間違いない。

 ところが心配なことに、日本メーカーの電気自動車に対する取り組みは少し遅れているように感じる。大金を投入して開発したハイブリッド技術を捨てるのが惜しいあまり、電気自動車の時代はまだ早いとばかり、ハイブリッド車を市場に投入して時間を稼ごうとしている。

 しかし、先ほども言ったように、世界の潮流は、2035年にはハイブリッド車すら販売禁止にするという方向に向かっている。今が2035年だとしたら、トヨタがヨーロッパで販売できる車はミライだけで、日産はリーフ、ホンダはホンダe、マツダはMX-30だけだ。日本のハイブリッド車は、2035年には日本だけで販売されるガラパゴスカーになっているかも知れない。当然縮小する日本市場だけで、日本メーカーは食べていけない。

 ミライは燃料電池車なので別として、今販売されている日本勢の電気自動車は、テスラのモデル3と比べて、値段、パワー、航続距離、どれをとっても太刀打ち出来ていない。フォルクスワーゲンBMWメルセデスベンツアウディプジョーといったヨーロッパメーカーも続々と新開発の電気自動車を発表しているが、どれも日本の電気自動車より魅力的に感じる。

 テスラや欧州車どころか、今まで日本が格下に見ていた中韓メーカーが開発中の電気自動車にも負けるかも知れない。エンジンの開発には、技術の蓄積が必要なので、中韓メーカーが日本メーカーに追いつくことはなかなか出来ないが、電池とモーターが主の電気自動車なら、他の家電製品と同じで技術的に追いつくことが可能である。

 かつて「世界に冠たる」と言われていた日本の家電メーカーが、今や世界市場では中韓の家電メーカーの後塵を拝しているが、同じことが2035年の自動車業界で起きているとしてもおかしくない。

 日本経済の屋台骨である自動車メーカーが、今の家電メーカーと同じようになれば、日本という国の経済力が相当衰えることになる。

 日本の将来について悲観的なことを書いたが、2030年代以降も日本の自動車が世界の先頭を走るには、各メーカーが電気自動車の開発に取り組み、国を挙げてそれをバックアップする態勢を取るしかない。それが出来なければ、日本は茨の道を歩むことになるだろう。

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ZC33Sスイフトスポーツ 1/60ミニカー

 電気自動車は、電池の重量が重く、相当な技術上のブレイクスルーがなければ、今のガソリン車と同じパワーで、ガソリン車よりも軽い車を作るのは至難の業である。

 2035年以降、我が国でも内燃機関車は販売禁止になるだろうが、それまでに販売された車の運転を禁じられることはないだろうから、2035年の私も、ZC33Sスイフトスポーツに乗っていることだろう。

 トヨタが開発中の全個体電池がどれほどの性能を持つか分らぬが、私は2035年スイフトスポーツと同じ140馬力の電気自動車が、車重1トンを切ることは無理だろうという方に賭けている。

 そのころには、ガソリン自動車は、フィルムカメラのように趣味の領域の車になっているかも知れないが、軽量という点で、未だ価値を持ち続けているだろう。

 しかし、電動車の技術の進化は凄まじい勢いで進んでいる。1年後には早くも私の予想が覆されているかも知れない。