ZC33S スイフトスポーツ 四年経過

 平成31年3月にスイフトスポーツを購入してから四年が経過した。

 走行距離は54,800キロメートルとなった。メーター表示の平均燃費は、15.1㎞/lである。

 先日スズキのディーラーで法定1年点検を受けた。納車以来使っていたバッテリーが弱くなっていたので交換した。その他問題なしである。

 スイフトがそろそろフルモデルチェンジするという噂が出ている。早ければ今年中にモデルチェンジがあるだろう。標準車のモデルチェンジに伴って、スイフトスポーツもフルモデルチェンジされることだろう。

 次のスイフトスポーツは、マイルドハイブリッド化されると言われている。欧州のスイフトスポーツは既にそうなっているので、恐らくこの噂は事実だろう。ということは、ZC33Sは、最後の純ガソリンエンジンを積んだスイフトスポーツになることになる。

 今、日本の一昔前のスポーツ系の車の中古車価格が軒並み上昇しているが、いずれZC33Sの中古車価格も上昇しそうだ。

 だが私は、この車を売って儲けようとは考えていないので、あまり関係がない。

 4年間乗り続けて最近改めて思うが、この車は本当にいい車だ。

 最近遠出の時に、VDC(横滑り防止装置)をOFFにするようになった。この車のVDCは基本的にONになるように設定されている。この車の魅力を知るためには、是非VDCをOFFにして走ることをお勧めする。別の車になると言えば大げさだが、身のこなしがよりダイレクトになる。

 ワインディングロードで、コーナーにややオーバースピードで侵入して、アクセルを抜いてエンジンブレーキをかけた状態でハンドルを切ると、オーバーステア気味になる。つまり後輪が滑って前がインを向く。FF車特有のタックインである。

 逆にコーナー旋回中にアクセルを踏めば、アンダーステア気味になる。

 コーナリング手前、もしくはコーナリング中に、スピードがつきすぎていると思ってブレーキを踏めば、荷重が前輪に移って後輪の荷重が抜け、オーバーステアになる。場合によってはカウンターステアが必要なくらい曲がる時もある。

 これらの挙動は、VDCをONにした状態では、マイルドにしか出てこない。OFFにすれば、前輪駆動車特有の運転特性がはっきりと出てくる。これは面白い。

 私の腕では、アクセルのオンオフ、ブレーキングで車の挙動を自在に制御できるとまではいかないが、Rが適度なカーブなどでは、アクセルワークの微調整で車の挙動が変化するのを掴むことは出来る。

 このように、限界付近の挙動が分かると、この車がよく作ってあるのが分かる。素人でも、ある程度車をコントロールすることを味わうことが出来るのだ。

 レーシングドライバー土屋圭市が、youtubeの動画で、ZC33Sスイフトスポーツを評して「ちゃんと作ってある」と言っていたが、その意味がよく分かる。

 一昔前のトヨタが作っていたような、見た目はスポーティだが走らせるとただのファミリーカーと変わらないという、なんちゃってスポーツと違って、本物のスポーツである。

 自動車メーカーごとに、そのメーカーが技術の粋を結集した、イメージリーダーと言えるスポーツカーがある。

 日産ならGT-R、スバルならWRX STI、ホンダならNSXもしくはシビックType-R。その会社の技術を象徴する車だ。

 スズキの場合、このスイフトスポーツがその立場にある。いわばスズキのGT-Rだ。だが所詮新車で200万円の車である。走りに関しては、この値段でよくここまで作ったと思うが、手を抜くところは徹底して手を抜いている。例えば後部座席の居住性は軽四と変わらない。

 いずれにしろ、この庶民的な値段で、レーシングドライバーを唸らせる操縦安定性を実現させたところが、いかにもスズキらしい。

 今日、妻が自宅で趣味でやっている陶芸の道具を置く台にするため、リサイクルショップで木製の長いベンチを買った。ハッチバックスイフトスポーツに積むことが出来た。GT-Rではこういうことは出来ない。

 常に庶民の日常生活を忘れないスズキだからこそ、普段の買い物に使える範囲で見事なスポーツ走行性能を持つ車を、自社のイメージリーダーに据えたのだろう。

 私はZC33Sを日本の自動車史に残る名車になると思っているが、もうすぐ新車で買えなくなると思うと、大事に乗っていかなければならないと感じる。