ZC33S スイフトスポーツ 三年経過

 私がZC33Sスイフトスポーツを購入してから3年が経過した。

 今まで、1年経過する度にスイスポに関する記事を書いてきた。今後も、1年毎に記事を書いていきたい。

 この1年間で変化があったことは、スイスポのタイヤを交換し、初めての車検を受けたことである。

 スイスポの純正タイヤは、コンチネンタル・スポーツコンタクト5というタイヤだが、このタイヤはグリップ力が極めて高く、多少オーバースピードでコーナーに突っ込んでも、ハンドルを切ればカクンと曲がってくれる優れモノのタイヤだった。

 だが、グリップ力が高い分、消耗が早く、値段が高かった。昨年10月には、タイヤの溝がほとんどなくなり、交換を余儀なくされた。

 私は、コンチネンタルではなくて、他のタイヤなら走行感覚はどうなるだろうと興味を覚えた。

 そこで次のタイヤに選んだのが、ブリジストンPOTENZA・ADRENALIN・RE004だった。

ブリジストンPOTENZA・ADRENALIN・RE004

 このタイヤに交換して、タイヤ屋の駐車場から出発した途端に、車の性格がガラリと変わったことを感じた。

 一言で言うと、軽快になった。ハンドルが軽くなった気がした。重厚な乗り味から、カジュアルな感じになったと言うべきか。

 コンチネンタル・スポーツコンタクト5は、がっしりと地面を掴んでいる感覚があった。おかげで軽量な車体のスイスポでありながら、重厚感ある走りを実現していた。

 POTENZAは、街中でハンドルを切った時は、軽快にハンドルが回る。その分、グリップ力はコンチネンタルに劣るだろうと思う。

 ワインディングロードでちょっと攻めた走りをした時、以前ならタイヤが滑らない場面でも滑りそうになる。

 勿論、POTENZAも優秀なタイヤである。ワインディングを流す程度なら、これで十分である。限界付近まで至らないと、差は分からない。

 今までのスイスポに関する記事で、私はFFなのに後輪から滑り始めると書いたが、POTENZAにしてから、前輪も同時に滑るようになったと感じる。今までの感覚でコーナーに入れなくなった。

 ZC33Sスイフトスポーツは、コンチネンタル・スポーツコンタクト5のグリップ力に合わせてサスペンション等のセッティングをしているだろうから、タイヤを変えてしまうと、スズキの開発陣が想定した乗り味からは変わってしまうのだろう。

 さて、この3月に車検を受けた。3年経って、走行距離は約42,000㎞になった。燃費は、メーター表示でリッター15.2㎞である。

 ディーラーで車検を受けたが、エアコンフィルターを交換した以外何の不都合もなかった。

 次の車検までの半年ごとのエンジンオイル交換代と1年点検の料金を先払いするメンテナンスパッケージに加入したが、それを入れても車検代は10万円を切った。

 以前乗っていた軽四のスズキMRワゴンの車検代が約8万円だったことを思うと、スイスポの車検代は驚くほど安い。

 因みに任意保険の額も、MRワゴンとあまり変わらない。保険会社はスイスポをただのコンパクトカーと認識しているのか。

 スイスポの性能は、十分スポーツハッチと呼べるものである。それでいて軽四と車検代や保険代がそんなに変わらないのだから、驚異のコストパフォーマンスである。

 K14Cエンジンは、直噴ターボエンジンのため、シリンダー内でガソリンが完全燃焼せず、カーボンが幾等か発生する。ある程度距離を乗ると、カーボンがシリンダー内に堆積する可能性がある。

 私がこの車を買うときに、一番心配したのが、カーボンの堆積であった。今のところ、パワーが衰えて来たとか燃費が悪化してきた感じはない。

 もう少ししたらカーボン除去用の添加剤を入れてみようかと思っている。

 1年前に書いたスイフトスポーツ二年経過時の記事で、私はこれからは電気自動車の時代が来るだろう、日本車メーカーはその流れに乗り遅れているのではないかと書いた。

 あれから1年経っても、私の思いは変わらない。ヨーロッパ車を中心に、魅力的な電気自動車が増えて来た。

 この1年の間に変化したことは、脱炭素が世界的な潮流になったということである。二酸化炭素を排出する石油や石炭は、今や悪者扱いされるようになってきている。

 世界的に油田開発への投資額は少なくなっている。今後もガソリンの値段は下がることはなく、上がり続ける一方だろう。

 最近スイスポに給油をした時は、ハイオクでリッター172円だった。これが1年後にリッター200円、2年後にリッター300円になっていてもおかしくはない。

 そうなると、さすがに車での史跡巡りは経済的に厳しくなってくる。

 20世紀に人類は豊かになり、爆発的に人口が増えた。

 この豊かさを実現した理由は様々だが、最大の要因は、石油という保管や運搬がしやすく、効率のいいエネルギー源を安く利用できたから、ということに尽きると思う。石油が高くなれば、20世紀型の豊かな生活はできなくなる。

 石油がなくなれば、今ある乗用車もバスもトラックも動かなくなり、重機も使えなくなる。そうすると現代の高度な土木工事も出来なくなる。運送費が高くなり、全ての物の値段は上がるようになる。

 化学繊維の衣服もプラスチックも現代住宅の壁紙も、元は石油から出来ている。

 石油がなくなれば、人々は麻や木綿の服を着て、漆喰や土壁の家に住み、馬車に乗るようになるのだろうか。石油が出る以前の生活に徐々に戻るしかないのだろうか。

 電気とバッテリーとモーターでは、今の石油を使った経済システムを完全に代替することは出来ない。

 思えば庶民がマイカーに乗って、行きたいところに自由にドライブに行けた20世紀後半から21世紀初頭にかけての生活は、人類史上奇跡的に豊かな時代だったと言えるだろう。

 今の人類が当たり前と思っている豊かさが、実は石油を掘り当てた間の幸運に過ぎなかったと気づく時が近づいているのかも知れない。