田部義民の墓を詣でて、そこから南下する。
ひたすら南に走り、真庭市岩井谷にある真言宗の寺院、別当寺を訪れた。
別当寺は、集落の高台にある寺院である。本尊は地蔵菩薩である。
境内にある枝垂桜が満開であった。実に美しい。
境内にある石造五輪塔などを見た後、本堂の奥に進んだ。
本堂の奥には、王子権現を祀る祠がある。
この王子権現の中には、貞治六年(1367年)の銘のある木造獅子狛犬がある。
貞治六年は、南北朝時代であるが、この時代の彫刻や寺社建築には、華麗に彩色されたものが多い。
王子権現を祀る祭壇の左右に、木造獅子狛犬が安置されている。
神々を静かに厳かに見守り続けているようだ。
木造獅子狛犬は、檜造りで、胸からと上と腹から下を分けて作った後に組み合わせている。
元は漆地彩色であったが、後世に紙張りして再彩色しているという。
650年以上ここで王子権現を守り続けてきた狛犬である。
狛犬に知らず知らずお務めご苦労さんと声をかけたくなった。