蓮花寺から北上し、三田市酒井に鎮座する高売布(たかめふ)神社を訪れた。
この神社の創建は古く、7世紀初めの推古朝のころとされている。「延喜式」に記載のある式内社である。
祭神は、下照比売(したてるひめ)命、天稚比古(あめのわかひこ)命である。
中世には、源満仲が多田荘の鎮守として尊崇した。
近世には摂津麻田藩領となり、藩主青木氏の祈願所となった。
本殿は、一軒社流造、檜皮葺で、永正十年(1513年)に再建されたものである。
草花を主題とした華麗な彫刻が施された貴重な建造物で、国指定重要文化財である。
本殿の背後に回ると、檜皮葺のなだらかな屋根がよく見える。
高売布神社の本殿は、室町時代中期の建立で、なかなか古いものである。
今まで史跡巡りをして気づいたが、どちらかというと、神社よりも寺院の方が古い建物が残っていることが多い。
これは、寺院には仏像を祀っていて、それを安置するお堂も重視されるが、神社には御神体はあるが像はなく、昔から御神体を祀る建物は新しい方がいいと見做されてきたからではないか。
日本の神々には姿形はなく、自然の中に潜んでいる。神々を祀るためのお社を建立するのも、神々を目に見えるものにしたいという人間の気持ちの現れだろう。