明覚寺から南に車を走らせると、城下通りという2車線の南北道の突き当りに福知山城が見えてくる。
小高い丘の上に築かれた城だ。
その福知山城の北側の福知山市内記にあるのが、福知山市丹波生活衣館である。
丹波生活衣館は、福知山市筈巻在住の染織作家故河口三千子が収集した、江戸時代末期から昭和初期までの、丹波木綿で織られた生活衣などのコレクションを展示する資料館である。
また、織機が備え付けられており、機織体験をすることも出来る。
丹波木綿で織られた丹波布については、かつて令和4年1月2日の当ブログ「丹波布」の記事で紹介したことがある。
この記事でも紹介したが、丹波木綿は、手で紡いだ木綿の糸を、自然の草木から取った汁で染織し、織機で織りあげていったものである。
普通なら製品として使えない屑繭から取り出した「つまみ糸」という絹糸を、緯糸に織り込んでいるのが特徴である。
丹波木綿には、何とも素朴な味わいがある。私も丹波木綿の着物を普段着用に一着欲しいところである。
丹波生活衣館には、通常なら廃棄される庶民の日常衣が、根気よく集められ、展示されている。素朴な味わいのある着物類であった。
だが展示された衣料は写真撮影禁止であった。
機織り体験コーナーの織機は撮影可能であった。施設職員から機織り体験を勧められたが、時間がないので遠慮した。
次なる目的地である、福知山市岡ノにある福知山市佐藤太清記念美術館を訪れた。
佐藤太清は、福知山出身の日本画家で、大正2年に生まれた。
佐藤は、自然を題材とした花鳥画や風景画を数多く手掛けた。平成2年に、日展出品作品を始めとする約100点の作品を収蔵する佐藤太清記念美術館が開館した。
平成4年には文化勲章を受章した。平成16年に享年90歳で死去した。
記念館は、福知山城の北東側にあり、城の縄張りの一角に相応しく、城郭風の建築物として建てられた。
福知山城の建物は明治の廃城令で破却されたので、当時の建物はほとんど残っていない。この美術館の建物も、平成2年の開館時に作られたものであろう。
建物の下に石垣があるが、福知山城の野面積みの石垣と異なるので、これも開館時に築かれたものだろう。
美術館に展示されている作品は、当然ながら撮影不可だった。
佐藤の作品は、上の写真のポスターに載った絵のように、力強さと清澄さを感じさせる作品群だった。
また収蔵作品展として、美術館が作品を収蔵する画家が描いた、「Nora」と題する農村風景の作品群が展示してあった。
この農村風景の作品群が、なかなか味があり、懐かしい気分にさせてくれた。
農村風景は、日本人を最も和ませるものだろう。
今回紹介した建物を訪問して、生活衣と絵画という、福知山の文化の一端に触れることが出来た。