10月30日に因幡の史跡巡りをした。
最初に訪れたのは、前回の因幡の史跡巡りで発見することが出来なかった空山15、16号墳である。
空山15、16号墳は、大小七十数基を数える空山古墳群のうちの2つの古墳である。
鳥取市広岡にある広岡農場から広域農道を西に行くと、4つ角がある。そこを左折南進して山中に入っていく道がある。
この道を真っすぐ進むと、左手に巨大なカラスの捕獲罠がある。梨を食い荒らすカラスを駆除するため、農家の人が仕掛けた罠だろう。
そこを過ぎて更に直進すると、左手に空山古墳群の説明板がある。空山古墳群は、6世紀後半から7世紀前半にかけて築造された。
この説明板のある場所から更に舗装路を南下すると、舗装路沿いに空山15号墳がある。
空山15号墳は、直径約12メートル、高さ約3メートルの円墳である。
熊笹で羨道が覆われているが、熊笹をかき分けると羨道入口が見え、屈めば中に人が入れることが分かる。
空山15号墳の石室には、線刻画が描かれている。木の葉の形をした線刻画があるそうだ。
石室内に入って、線刻画を確かめてみた。
石室内は薄暗いので、写真を撮るのにフラッシュを焚くが、そうすると線刻画の陰影が消えてしまい、何が描かれているか分からなくなる。
フラッシュを焚かずに撮った上の写真の中央右寄りに木の葉状のものが写っている。説明板の線刻画とは異なるが、これを見て満足した。
這って空山15号墳の石室から外に出る。
空山15号墳の北側の、少し山に入った斜面に空山16号墳がある。
空山16号墳は、石室の上部が崩落しており、側壁のみが残っている。
直径約15メートル、現在の高さ約1メートルの円墳である。
この石室跡の側壁に、鳥の線刻画が描かれているそうだ。側壁の線刻画を確認したが、鳥の線刻画は見つけることが出来なかった。
空山16号墳の方は、不完全燃焼の気持ちのまま後にした。
それにしても、このような線刻画を、古代人はどんな気持ちで残したのだろう。
古墳の石室は、被埋葬者を囲むものである。そこに描かれた画は、恐らく被埋葬者が生前に好きなものだったのだろう。
そう思って線刻画を見ると、古代人が故人を偲んだ気持ちが、こういう形で現在まで残っていることに、心温まる思いがする。