祭神は、品陀和気(ほんだわけ)命こと第15代応神天皇である。
この神社の由来はよく分からないが、応神天皇が小豆島に立ち寄ったという伝承に関連があることだろう。
鳥居を潜ってすぐ左手に護国神社がある。
明治以降、池田郷から戦地に出征した戦没者を祀るお社である。
境内には、戦没者の名前を刻んだ銘碑がある。
私は、史跡巡りで訪れた神社に戦没者を祀るお社があると、必ず参拝することにしている。
かつて様々な思いを胸に抱いて、国のために戦った人たちは、丁重に弔うべきである。
鳥居の先の緩やかな坂道を登っていくと、随神門がある。その向こうの拝殿までは、広い空間がある。
亀山八幡宮の秋季大祭では、太鼓台と呼ばれる布団屋根を持つ屋台が社頭や御旅所で練り合わされる。この広い空間も、祭りのときは太鼓台を練る氏子たちで埋まるのだ。
亀山八幡宮の拝殿は瓦葺である。瓦は古びているが、豪勢なものであった。棟瓦の意匠もいいものである。
一方の本殿は銅板葺だ。
本殿は、ほとんど装飾のない簡素な三間社流造である。
八幡宮の本殿には、簡素なものが多い。私は雄勁な八幡さんの社殿が好きである。
亀山八幡宮の本殿の脇には、古くから池田郷の人々から御神木として崇められてきた亀山八幡宮のシンパクがある。
このシンパク(真柏)は、樹齢400年以上、樹高19メートルで、西方に約80度傾斜している。
枝張りは東西に約10メートル、南北に約6メートル伸張している。
以前紹介した国の特別天然記念物である宝生院のシンパクは別格にしても、このシンパクの樹勢も大したものである。
亀山八幡宮のシンパクは、天然記念物で小豆島町指定文化財である。
地方に行くと、その村を象徴する樹木があったりする。それは、村の鎮守と同様に村人から尊重されている。
自然を尊重する素朴な信仰は、我が国の文化の基底にあるものである。