３階の奥には、寝室３室と婦人室１室がある。
とは言え、今は寝室としては使われておらず、往時の面影はない。
最も南側の寝室には、部屋の中央に当時あったものを再現した机と椅子が置かれていて、書斎のような雰囲気を出している。
机と椅子は、直線基調のアールデコ調のものである。
この椅子には実際に座ることが出来る。
私も座って大きく息を吸い込んだ。
寝室の西側の壁には、暖炉が設置されている。
寝室の北側には、一段高い位置に婦人室がある。奥方がここで化粧をしたり、化粧落としをしたのだろう。
婦人室と寝室の間には窓があり、婦人室から寝室を見下ろすことが出来る。
婦人室は、畳敷きの和室であった。
寝室に面した婦人室の棚の上に、ライトの理想が結実された「夏の家」に置かれたものと同じテーブルスタンドが置かれている。
複数のブロックの中に電球を入れ、反射板によって間接光を出している。面白いデザインのテーブルスタンドだ。
婦人室の奥には、寝室が２部屋続いている。手前の南側の寝室は、今は売店のスペースになっている。
その奥の寝室は、テレビにヨドコウ迎賓館の映像を流して訪問客に観覧させる部屋になっている。
この部屋が、ヨドコウ迎賓館の最奥の部屋である。
寝室の西側は、狭い廊下になっている。
この廊下を、南側の洗面室方面に戻ると、高低差があり、屈折した形状をしていることが分かる。
この建物が、山の斜面に築かれていることを思い出した。
廊下の天井には明り取りの窓が付いている。
洗面室前に戻って、４階への階段を上った。
４階には、ロマンチックな作りの食堂と、遠大な眺望を楽しめるバルコニーがある。
昔は皆食事への期待を胸に、この階段を上がったことだろう。
