ヨドコウ迎賓館 その4

 和室西側の廊下の突き当りを右折すると、靴箱がある。

 ここからが、ヨドコウ迎賓館が個人の住宅だった時代の家族の生活スペースである。

靴箱

 廊下を挟んで、この靴箱の向かい側に、洗面室や浴室などがある。

靴箱(右)と洗面室(左)の窓

洗面室の窓

 先ずは洗面室に入ってみた。洗面室の奥にトイレと浴室がある。

洗面室入口

 今まで色んな邸宅を見学して思ったが、広壮な邸宅でも洗面室や浴室は狭いので、部屋全体をカメラに収めることが出来ない。

 こういった部屋を魅力的な写真に撮る方法はないものかといつも頭を悩ませる。

洗面場

 水道の蛇口のある洗面場の底には、ガラス棒が並べて敷き詰められていた。ここに水を流した時には、涼しい音がするのではないか。面白い工夫である。

洗面場の底に並べられたガラス棒

 洗面室の奥には浴室がある。タイル張りの、いかにも大正昭和初期の浴室である。

浴室

浴室の湯舟

 湯舟を見ると、タイル張りの外枠の中に木の湯舟が嵌め込まれている。

 案外湯舟が小さい。大人一人でも、足を伸ばしてゆったり浸かることが出来ないくらいの狭い湯舟である。

 こんな豪華な建物でも、昔の入浴は今ほど快適ではなかったようだ。

 現代の小さなアパートの風呂の方が、これより快適であろう。

浴室内の洗面所

浴室の磨りガラス

 靴箱と浴室の辺りから、廊下を更に奥に行くと、天井に四角錐を3つ組み合わせたような意匠がある。

天井の意匠(南から北)

天井の意匠(北から南)

 ピラミッドを3つ組み合わせたような、不思議な意匠である。

 ここを潜ると、生活スペースに入るという意味なのだろうか。昔はここにカーテンを垂らしていたのかも知れない。

 ここから奥に入ると、突き当りに恐らく昔は部屋履きのスリッパを入れていた靴箱がある。ここから住人は、リラックスした気分になったことだろう。

廊下突き当りの靴箱

 ここから右に行くと、家族が休むための寝室が並んでいる。

 左に行くと、食堂に上がる階段と使用人室がある。

使用人室方向

使用人室

 使用人室は、3畳ほどの狭い和室である。使用人でいいから、こんな家で生活してみたい。

4階への階段

 使用人室の前から4階の厨房裏に登る階段があるが、この階段は立入禁止になっている。

 ここを上がると、4階の使用人室、洗濯室、厨房、食堂の前を通る廊下に出る。

 使用人が出入りした階段であろう。

 家族用の正式な階段は、3階の中央にある。

 ヨドコウ迎賓館は、当初は酒造家の山邑家が別邸として使用していた。

 洗面所や浴室を見ると、山邑一家がここで生活していた約100年前の様子が、目に浮かぶような気がする。