今日は趣向を変えて、車について。
第1回目の記事でも書いたが、ZC33Sスイフトスポーツは、私の大のお気に入りである。
たかが新車で200万円ほどの車だが、私の要求をほぼ完全に満たす車である。
まず、エンジンパワーと車重。私のZC33Sは、ATモデルだが、車両乾燥重量は、990㎏である。奇跡の1トン切り。スズキの軽量化技術ハーテクト万歳である。
この車よりパワーのある車はいくらでもあるが、この車より軽い車はそうそうない。軽四を除けば、1トン切りの車はまずない。馬力は140馬力、トルクは23.4㎏f・mである。パワーウェイトレシオは、7.07kg/psだ。1トンを切った車に、これだけのパワーのエンジンを載せているのは、世界的に見ても、ロータス・エリーゼやスーパーセブンなどしかない。しかし、これらの車は生粋のスポーツカーで、日常の買い物などに使うには不便である。普段使いが出来る1トン切りのスポーツタイプの車は、世界でZC33Sしかないだろう。
エンジンは、ターボ化されて、先代のZC32Sよりも官能性が無くなったと言われるが、重低音のエギゾーストノートは結構好みである。最高回転数は低いが、パワーの伸びもいい。伸びというより全域トルクフルだ。直噴ターボは、カーボンの堆積に不安があるが、リッター16を超える実燃費を考えると、普通のターボには戻れない。
次にデザイン。今までのスイフトスポーツは、顔が好みではなかった。味気なかった。ZC33Sになって、ようやく好みの顔になった。ヘッドライトの形など、ジャガーEペースみたいである。金属から削り出したような塊り感のある姿。よく見ると、意外と複雑な面で構成されていて、飽きがこない。
次は内装。
ダッシュボードの、回転計とスピードメーターの配置や形が、どことなくハコスカを思い出させる。
赤と黒を基調とする内装も統一感がある。私は基本的に武骨なものが好きで、やたらとお金かけてますという成金趣味の内装が嫌いなのだが、このZC33Sの内装は、豪華でもなく安っぽくもなく、色彩、スイッチ類の配置と形状、ハンドルの形がうまくバランスされていて、私の好みに合う。
オプションはほとんどつけなかったが、唯一こだわったのが、本革巻きのサイドブレーキだ。標準のサイドブレーキは、プラスチック丸出しだが、これでは味気ない。黒い革に赤いステッチの入ったサイドブレーキは、引くたびにいいな、と思う。
タイヤはドイツ製のコンチネンタルスポーツコンタクト5。5穴のアルミホイールも、踏ん張っているようでいい。
足回りは、私は硬いかなと感じる。ごつごつしている。もう少し走行距離が伸びれば、しなやかになるのだろうか。
あと、ホイールベースが短いので、高速道では、かつてのR32スカイラインの方が安定していたと感じる。ただし、狭いワインディングでは、圧倒的に扱いやすい。スタビリティも高い。この車に不満があるとしたら、当たり前だが、後輪がパワースライドしないことだ。やはりFRはいいなあと思う。買った初日に、NDのロードスターとすれ違って、羨ましいと感じた。
この車には、アイドリングストップ機能や、走行モードの切り替え機能がない。最近のスポーツタイプの車には、スポーツモードとエコモードの切り替えがついていることが多いが、ZC33Sにはない。エコモードがあると、燃費を気にしてついつい常時エコモードにしてしまいがちだが、この車には、そんな迷いの元はない。常時スポーツモードだ。
ZC33Sは、8万円ほどで、車線逸脱防止機能や自動ブレーキなどのセーフティパッケージをつけられるのが売りだが、私はつけなかった。車を運転するのが好きな人が乗るスポーツタイプの車で、何が楽しくてコンピューターが運転に介入する機能をつける必要があるのか。つけてもどうせスイッチ切りっぱなしにしただろう。というわけでつけなかった。ただ、この車は、標準装備の横滑り防止機能をOFFにしても、コンピューター制御が完全に切れないので、機械に守られていることに違いはない。まあ、このおかげでアンダーステアが出ないのだろうが。
というわけで、走りに関しては、「素」の状態を維持したどノーマルである。まるで80年代90年代のスポーツハッチみたい、というのが理想である。
プジョー205GTIの評判を聞いて、ちょっと乗ってみたいと思ったが、ZC33Sスイスポも、将来プジョー205GTIのような古典的ハッチバックという評価を確立できるだろうか。
ある時、スズキの営業マンが、スズキの車は安っぽいと言うお客に、「うちは安っぽいのではなくて、安いんです」と答えたというが、この安さでこの内容の車を作ったスズキは偉大である。日常生活を送るユーザーのことを忘れない車づくりをするスズキは、庶民的で良心的なメーカーだ。まさに「小さな車、大きな未来」である。
というわけで、べた褒めの太鼓持ちのような記事しか書けなかったが、これ全て私の本音である。
車はたかが道具である。人にもそれぞれ車の好みがあるだろうが、「これだこれ、こういうのが欲しかったんだ」という車を手にしたら、確実に人生が豊かになりますよ。