1月29日に淡路の史跡巡りを行った。
最初に訪れたのは、兵庫県南あわじ市倭文(しとおり)庄田にある倭文八幡神社である。
倭文の地名は古く、平安時代中期に書かれた「和名抄」に倭文郷の名が見えるという。この地で梶の木や麻などで織り出した倭文織(しずおり)を生産していたことからついた地名だと言われている。
倭文八幡神社の祭神は、誉田別(ほむだわけ)命、神功皇后、倭文明神、田心姫(たごりひめ)命などである。
創建がいつかは分からぬが、鎌倉時代には飛騨の名工武田番匠が拝殿を建築したと伝えられている。
天文八年(1539年)に三好氏の家臣加地六郎兵衛、加地左京之進が社殿を改築したことを記した刻銘瓦、刻画瓦が、社宝として残されている。
拝殿は、明治29年に修復された。昔から地元の武将に崇敬された神社のようだ。
ところで南あわじ市は、瓦の生産で有名である。伝統の技で鬼瓦を作る鬼師と呼ばれる職人たちも多く住む。
拝殿の瓦は、目も覚めるような新しい瓦であった。
この瓦が、今後数百年、ここで時を刻み続けることだろう。
拝殿の東側にあった梅の蕾がほころび始めていた。この冬は寒かったが、春は確実に近づいている。
本殿は三間社流造である。八幡神社らしい、飾り気のない雄勁な本殿である。
本殿の蟇股に鏡が設置されている。
鏡は、お社の御神体として奉戴されていることが多い。蟇股に鏡を安置しているのは初めて見た。
境内の手水舎の水は、厳寒の中、表面が凍っていた。そんな寒さの中で梅の蕾のほころびを見てほっとした。季節は確実に巡っている。今年は春の到来が例年より待ち遠しい。