萌黄の館 後編

 萌黄の館の2階へは、オーク材で作られたと思われる、重厚な色合いの手摺が付いた階段を登っていく。

階段

 階段は、2階の手前で踊り場を挟んで北側と南側に分かれている。

南北に分かれる階段

 2階北東側には、バスタブを備えた浴室、トイレ、洗面室がある。

浴室

 浴室も、この当時は最新式の設備だったのだろう。

 2階北西側には、子供部屋がある。

子供部屋

 ぬいぐるみはどうか分からぬが、小さな子供用の椅子は、小林家が実際に使用していたものだろう。

 階段の踊り場から南側には、3つの部屋があり、その南側にベランダがある。

2階の南側廊下

 浴室の南側にあるのは、化粧室である。夫人用の部屋だろう。

化粧室

 化粧台の横に、婦人用のトランクと帽子が置いてある。夫人が今から旅行に出かける準備をしていて、化粧の途中に中座したかのようだ。

 化粧室の暖炉のタイルは、女性の部屋らしいピンクの装飾がしてある。

化粧室の暖炉のタイル

 化粧室の南側には、寝室がある。

寝室

 寝室の中央にはテーブルがあって、酒壜とグラスが2つ置いてある。寝る前に、夫婦がテーブルを挟んで晩酌でもしたのだろうか。

 また、奥のデスクでは、主人は寝る前に日記でもつけたのだろうか。静かな日常が窺える。

 2階の南西側には家族がくつろぐ空間である居間がある。

居間

居間の暖炉

 居間で団欒する家族の姿が目に浮かぶかのようだ。暖炉のタイルの色は、落ち着いたブルーである。

 居間と寝室の南側にはベランダがある。

ベランダ

 ベランダからは、神戸市街が一望できる。ベランダには、ハンモックをかけるためのフックが2つ装備されている。

ハンモック用のフック

ベランダの東側

 フックは、ベランダ南側中央部の柱と、ベランダ東側の柱に付いている。

 休日にここにハンモックをかけて、その上で横になり、本を読んだり、気が向いたら港を眺めながらうつらうつらする。まあ夢のような生活だ。

 海が見える高台に洋館を構えて住んでみる、というのが人生の夢だが、どうやら叶いそうもない。

 こんな洋館を思い浮かべながら、甘い夢想をするしかないのか。