岩上神社の周辺には、古代から信仰されてきた巨石群が点在する。
まず訪れたのは、淡路市柳沢戊にある夫婦(めおと)岩である。
夫婦岩は、静かな農村地帯の中の低い丘陵上にある。丘の北西側に、夫婦岩に至る遊歩道の入口がある。
遊歩道に入ってしばらく歩くと夫婦岩への案内板が見えてくる。
案内に従って分岐を左に進むと、竹林のなかの道をしばらく行くことになる。
竹林を過ぎると、夫婦岩が見えてくる。夫婦岩の横には小さな祠がある。夫婦岩荒神と呼ばれているらしい。
近くの説明板を見ると、夫婦岩荒神は約450年前から信仰されていて、現在は地元の荒神講約16戸が中心となって祭祀を司っているという。
荒神さんは中世から信仰されているのだろうが、夫婦岩自体は太古からここにあり、人々から信仰され続けてきたことだろう。
夫婦岩は、二つの巨岩が重なっているような形をしている。夫婦交合の姿を現しているという。
夫婦岩は、高さ約5メートル、周囲約17メートルの大きさだそうだ。
斜面から2つの岩が重なって突き出ているように見える。岩の半分は、地中に埋まっているのではないか。
荒神さんの祠の背後に回ると、祠の中に石が置かれていた。祠の御神体なのだろうか。
見ると花崗岩である。この祠の中の石の意味を知りたいものだ。
さて、夫婦岩への参拝を終え、次は柳沢の西にある淡路市高山甲の山王神社を訪れた。
山王神社は、標高184メートルの小高い山の頂上にある。創建年代は不詳で、山の神様である大山咋(おおやまくい)命と火の神様である軻遇突智(かぐつち)命の二柱の神様を祀っている。
社殿は安永二年(1773年)に再建されたという記録があるらしい。
拝殿の脇には、舟の形をした舟石がある。
なるほど、小さな舟に似た形だ。
本殿は、明治31年に新築された小ぶりな社である。
本殿蟇股には、舟の彫刻があった。私にとって、舟の蟇股は初見である。
山王神社に向かって左手には、巨石群がある。
午前の柔らかい光が木々の間から巨石群に落ちて、神々しく静かな雰囲気を醸し出していた。
遥か昔から、この巨石群の上には、数えきれないほどの昼と夜が交互に訪れて、今に至っていることだろう。
人が石に神々しさを感じるのは、それが長い長い時を経て今ここにあるからだろう。長い時を感じさせるものは、人に畏敬の念を起こさせるものだ。