つやま自然のふしぎ館第9室には、極地の生物だけでなく、南米の動物の標本も展示されている。
ジャガーの標本など、今にも襲いかかってきそうな迫力だ。
一方木からぶら下がるナマケモノは、なんとものどかな風情だ。これでよく今まで生存競争を生き延びてこられたものだ。
説明書きを読むと、ナマケモノは週に1回、排泄のために樹上から地上に降りてくるそうだ。
第10室の爬虫類・両生類コーナーには、美作地方に多く生息する国の特別天然記念物オオサンショウウオのホルマリン漬けの標本が展示してあった。
見れば見るほど不思議な生き物だ。
第11号室の日本の鉱石・岩石コーナー、第12号室の世界の珍鳥コーナーは割愛する。
第13号室のオーストラリアの動物コーナーで目を引くのは、カモノハシである。
見ての通りくちばしと足ひれがあるが、立派な哺乳類である。雄は後ろ足の蹴爪から毒を発するらしい。
第14室の日本及びアジアの野鳥コーナーには、見覚えのある野鳥の標本が多数あるが、代表はやはり鷹だろう。
クマタカは、日本列島の九州以北の山間部に生息する。日本の空の生態系の頂点に位置する。山歩きをしている時に遭遇したいものである。
第15室は、西アジア・アフリカの動物コーナーだ。
ジャイアントイランドは、スーダン辺りに生息している。牛の一種だが、こちらを見つめる表情に魅かれて写真に収めた。
百獣の王ライオンもいるが、さすがに剥製ではたてがみが寝てしまって、ちょっと元気がないように見える。気の毒だ。
館の廊下の一角に、昭和37年8月に津山市西松原の吉井川の川底から見つかったヒゲクジラの化石が展示されていた。
発見したのは当時中学3年生だった男子たちで、川遊びをしている時に見つけたのだろう。
このヒゲクジラは、約2千万年前に生息していたものと見られている。約2千万年前の津山は、海の底だったようだ。
約2千万年前の日本列島周辺の図が展示してあったが、今の日本列島の姿形など全くない。
プレートテクトニクスによる地殻変動は、まだ数億年は続くようだから、今から約2千万年後には、今の日本列島も跡形もなくなっていることだろう。
私が巡っている日本の史跡も、そのころには全て消滅していることだろうし、人類自体が今と同じ姿をしているか分らない。現生人類が誕生してまだ約20万年である。
今我々が大切に思っている事物が、いずれ跡形も無く消え去ることはどうやら避けられないようだ。
今自分が生きている間だけ楽しく充実していればよいという考え方も間違ってはいないが、我々が永久にあると思い込んでいる物事も永久ではないという視点は、時折思い出してもいいのではないかと思う。
そうすれば、気分が楽になることもあるだろう。