香雪美術館

 弓弦羽神社の東隣にあるのが、香雪(こうせつ)美術館である。

 明治12年朝日新聞を創刊した村山龍平が大正時代までに収集した刀剣、仏画、墨蹟、茶道具などを収蔵している。

 香雪美術館は、村山龍平のコレクションに、初代理事長村山長挙(ながたか)のコレクションを含めて一般公開するため、昭和48年に開館した。

 香雪は、村山龍平の雅号である。

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香雪美術館を囲む塀

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 香雪美術館の敷地には、美術館だけでなく、村山家が使用した洋館や和風建築の御殿、茶室がある。これらの建物は、現在国登録有形文化財となっている。

 香雪美術館の敷地を囲う石塀は、独特の景観を生み出しており、この石塀を見るたびに、香雪美術館に来たことを実感する。

 私は香雪美術館には、過去何度も足を運んでいる。茶道具の展覧会があるたびに見に来ている。

 収蔵品の中には、国指定重要文化財となっている美術品が18点もある。中でも有名なのは、幼少時の弘法大師の姿を描いた稚児大師像だろう。

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香雪美術館正門

 今回は、「茶の湯の茶碗」展を観に来た。

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茶の湯の茶碗」展パンフレット

 パンフレットの真っ黒な背景となっているのが、楽家初代長次郎作の黒楽茶碗である。

 長次郎は、桃山時代の茶陶家で、利休の求めに応じて作陶し、楽焼を創始した。

 楽茶碗は、轆轤を使わずに手ひねりで作陶し、低温で焼成する。長次郎作の黒楽茶碗が2点展示されていたが、つやのない黒色が独特の存在感を放つ神品である。

 パンフレット右下の織部黒茶碗がまた前から立ち去りがたい銘品であった。

 その他、江戸時代のマルチアーティスト、本阿弥光悦作の黒楽茶碗もあった。

 それにしても、このパンフレットを見て初めて知ったが、茶碗のことを英語で「TEA BOWL」と言うようだ。何だか違和感がある。

 さて、香雪美術館の敷地は、緑が豊かで茶室もある閑雅な空間である。

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香雪美術館敷地

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茶室

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美術館入口

 美術館の中は当然ながら撮影禁止である。

 美術館の東側に、かつて村山龍平が住んだと思われる洋館や御殿があるが、一般公開はされていない。

 石塀づたいに敷地を巡り、外側から眺めるだけである。

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御殿と玄関棟

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洋館

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 中に入って拝観したいものだが、それは叶わない。香雪美術館では、春と秋に、庭園特別見学会を行っている。

 洋館や御殿の中には入れないだろうが、周辺の庭園は見学出来そうだ。またの機会に訪れようと思う。

 最近抹茶を飲んでいないが、銘品の茶碗で飲む抹茶はまた格別である。かつて戦国大名が茶道具の銘品の収集に血眼になったが、たかが一碗の茶碗でも、人生に深い彩りを与えてくれると思う。