播磨

古窯陶芸館

兵庫県西脇市野村町にある古窯陶芸館は、平安時代末期の窖窯跡を、ドームで覆って保存している施設である。 ここでは、陶芸教室も行われている。 古窯陶芸館 窖窯は、5世紀に朝鮮半島から伝わった。山の斜面にトンネルのように穴を掘って築かれる。穴の中は…

西脇市 石上神社

兵庫県西脇市板波町にある石上(いそがみ)神社の御祭神は、奈良県天理市の石上(いそのかみ)神宮の御祭神布都御魂神(ふつのみたまのかみ)の御分霊である。 鳥居 この神社の創建は、社伝では、一条天皇の御宇である正暦三年(992年)とされている。 石上…

旧来住家住宅 後編

客湯殿の浴室の隣室は、化粧室となっている。女性の化粧や更衣用の部屋だったようだ。 化粧室 御覧のように三畳の狭い部屋である。しかし、小さいながらも、この部屋も選び抜かれた銘木があちこちに使われている。 床の間と床脇 まず真ん中に通る床柱は、鞍…

旧来住家住宅 中編

旧来住家住宅は、2階建てである。 2階に上がる階段は、古い日本住宅らしく、狭くて急である。 階段 2階に上がると、畳廊下を挟んで、左側に押入れが、右側に和室がある。 2階の畳廊下 床の間のある奥の和室は、スタッフの方が使用中であった。手前の和室…

旧来住家住宅 前編

西脇市西脇にある旧来住(きし)家住宅は、少なくとも兵庫県内では屈指の名邸宅であると思う。私はまだまだ見聞が狭いため、断言できないが、日本全国で見ても、これほどの名邸宅はそうないのではないかと思われる。 建てられてから100年ほどしか経っていな…

西脇市郷土資料館

兵庫県西脇市は、播州織で有名な町である。播州織の資料等を展示しているのが、西脇市西脇にある、西脇市郷土資料館である。生活総合文化センターの2階が丸々郷土資料館になっている。 西脇市郷土資料館 コロナウイルスの関係で閉館しているのかと思いきや…

和田山西仙寺

兵庫県西脇市西田町にある和田山西仙寺も、法道仙人が白雉二年(651年)に開基したと伝わる寺院である。法道仙人が、堂塔に仏舎利を安置して、開創したらしい。 現在は真言宗の寺院となっている。 西仙寺 天平勝宝元年(749年)に、播磨国を巡遊中だった行基…

西脇市 西林寺

東播磨は、法道仙人開基の寺が多いが、今日紹介する西林寺もその一つである。同寺は、西脇市坂本の山麓にある。 柏谷山西林寺は、白雉二年(651年)に法道仙人が開いたと伝わる寺院である。平安時代中期に恵心僧都が中興したとされる。今は真言宗の寺院とな…

岡ノ山古墳 住吉神社

JR加古川線日本へそ公園駅を降りると、そこには、日本へそ公園がある。地名で言うと、兵庫県西脇市上比延町である。 日本の標準子午線である東経135度と、日本の領土の南端北端の中間である北緯35度が交差するこの場所が、日本の臍であるとして、日本へそ公…

西脇市 兵主神社 

荘厳寺から車を南に走らせる。 西脇市黒田庄町岡にあるのが、兵主(ひょうす)神社である。JR加古川線の踏切のすぐ近くに、巨大な鳥居が建つ。 兵主神社鳥居 この大鳥居は、昭和になってから建立されたものである。 社殿によれば、兵主神社は、延暦三年(784…

西脇市 荘厳寺 後編

荘厳寺の本堂は、塔頭法音院右脇の苔むした石段を登った先にある。 私は今迄何度かこの寺に足を運んだことがあるが、この石段には来るたびに息を呑む思いをする。 本堂への石段 中世からのままではないかと思わせる、寂びた石段だ。石段の脇には、大師堂があ…

西脇市 荘厳寺 前編

兵庫県西脇市黒田庄町黒田にある荘厳寺は、真言宗高野山派の寺院である。寺伝では、白雉年間(650~654年)に、法道仙人が開基したと伝わる。 慶長年間(1596~1615年)に、徳禅上人が当山に入り、荒廃した寺を真言宗の寺院として再興した。盛時には参道に10…

東山古墳群

兵庫県多可郡多可町中区東山にある兵庫県立多可高等学校の西側に、お饅頭のような円墳が15基復元されている。古代多可の豪族が眠っていた東山古墳群である。 東山古墳群 東山古墳群は、平成8~11年に発掘調査された。その結果、6世紀末~7世紀前半に築か…

多可町中区の寺院

今年3月22日以来、約2か月半ぶりに史跡巡りに出掛けた。今日まず訪れたのは、兵庫県多可郡多可町中区の寺院である。 多可町は、平成17年に多可郡の中町、八千代町、加美町が合併して誕生した自治体である。合併後、それぞれの町は区として名称を残すことと…

杉原紙

私たちが普段何気なく使っている紙。 この紙を日本人はいつから使い始めていたのだろう。 今はオンラインでつながったパソコンやスマートフォンがあるので、紙がなくても文字を用いて情報を伝達することが可能であるが、そのようなものがない時代には、紙が…

青玉神社

兵庫県多可郡多可町加美区は南北に細長い。北端は、丹波国、但馬国と接している。 加美区鳥羽(とりま)は、その北端に近い場所である。 ここにあるのが、鍛冶の神様である、天戸間見命(あまのとまみのみこと)を祀る青玉神社である。 青玉神社 青玉神社の…

岩座神

兵庫県多可郡多可町加美区岩座神(いさりがみ)には、有名な棚田がある。 岩座神は、東播磨最高峰の千ヶ峰(標高1005メートル)の中腹の標高3~400メートルに位置する集落である。 岩座神の名の由来は、過去に「いわすわりかみ山」と呼ばれた千ヶ峰から来て…

若宮神社 歓喜院聖天堂

兵庫県三木市吉川町稲田の若宮神社は、毎年10月に行われる「ヤホー神事」という祭儀で知られている。 若宮神社の創建は詳らかではないが、「美嚢(みのう)郡誌」によれば、村の住民の久右衛門なる男が、妻の安産に喜んで小社を建て、石清水八幡宮から分霊を…

湯川山法光寺

北播磨地方は、酒米の産地である。有名なのは、山田錦である。 酒米の生育には、昼夜の寒暖差が大きい、内陸性の気候が適している。地形的には風通しがよい、丘陵地の山麓が最適で、粘質土壌の凝灰岩の地質がいいとされている。北播磨は、この条件に合致する…

伽耶院

兵庫県三木市志染町大谷にあるのが、本山修験宗の寺院の伽耶院である。 孝徳天皇の勅願により、法道仙人が大化元年(645年)に開基したと伝えられる。伝説では、法道仙人が、山中の清水から毘沙門天像を得たのがきっかけという。 古くは大谷山大谿寺東一坊と…

御坂サイフォン 御坂神社

兵庫県三木市志染町御坂町に、サイフォンの原理を生かして、高低差のある場所に水を通す御坂サイフォンがある。 サイフォンの原理とは、何らかの液体を、高い位置にある出発地点から低い位置にある目的地点まで管でつないで流す際、管内が液体で満たされてい…

志染の岩室

兵庫県三木市志染町井上に、千体地蔵と言われる地蔵群がある。 中心にある地蔵尊は、山から突き出た砂岩に刻まれたものである。 千体地蔵中央のお堂 地蔵尊 この地蔵尊は、伝承によれば、天平三年(731年)12月に行基菩薩が彫ったものとされている。しかし実…

三木城跡 細川庄

三木市上の丸町一帯が、国指定史跡の三木城跡である。今まで紹介した、雲龍寺や三木市立みき歴史資料館、三木市立金物資料館も、三木城跡に含まれる。 三木城跡の見取図 三木城は、15世紀後半に別所則治により築城された。当時は、東播磨随一の要害であった…

三木市立金物資料館

三木市立金物資料館は、三木市上の丸町にある金物神社の境内の中にある。 神社の中に、市立の資料館があるのが驚きだが、これこそ三木の町と金物との結びつきを現わしているように思う。 金物神社の鳥居 三木市立金物資料館 古代、播州では、在来の倭鍛冶と…

雲龍寺 三木市立みき歴史資料館

別所長治が居城とした三木城は、三木市上の丸町の小高い丘の上にあった。 曹洞宗の寺院、高源山雲龍寺は、三木城内にあった寺である。 雲龍寺は、村上天皇の勅命により、天徳二年(958年)に慈恵僧正が創建した。天皇の勅願所としての高い格式を誇ったが、そ…

三木市 法界寺 本要寺

兵庫県三木市東這田にある虚空山法界寺は、浄土宗の寺院である。 ここは、三木城を拠点とした戦国武将別所長治が埋葬された寺院である。 法界寺 法界寺は、天平四年(732年)に行基菩薩が開基したとされている。行基が聖武天皇の勅を奉じて全国を行脚してい…

明石市魚住町の寺院

吉田南遺跡から西に向かい、明石市魚住町長坂寺にある足留山遍照寺に行く。ここは浄土宗の寺院である。 遍照寺 推古天皇五年(597年)、当時の日本の同盟国百済の阿佐太子が来日した。 阿佐太子は、飛鳥の皇居にて聖徳太子と清談した後、明石浦魚住の泊より…

枝吉城跡 吉田南遺跡

吉田郷土館の裏手に小高い丘がある。昔枝吉(しきつ)城があった丘である。 麓には、神本神社という神社がある。 枝吉城跡のある丘 枝吉城跡登り口 吉田郷土館の裏に城跡への登り口がある。低い丘なので、すぐに頂上の城跡に至る。 枝吉城跡 頂上は、公園の…

王塚古墳 吉田郷土館

神戸市西区王塚台3丁目にある王塚古墳を訪れた。 当ブログも、ついに神戸市内に足を踏み入れたが、実は神戸市西区、垂水区の全域と須磨区、北区の一部は、播磨の区域内にある。王塚古墳のある場所も、播州の一部である。 王塚古墳は、第29代欽明天皇の皇女…

魚住の泊 明石原人

兵庫県明石市大久保町江井島にある江井島港は、沖に淡路島を望む風光明媚な漁港である。 江井島港は、行基菩薩が開いた摂播五泊と呼ばれる古代の港の一つ、魚住の泊があった場所である。 ちなみに摂播五泊は、室生泊(たつの市御津町)、韓泊(姫路市的形町…