2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大和島 絵島

淡路市岩屋は、漁業の町である。岩屋漁港からは、潮流の速い明石海峡に多数の漁船が繰り出す。 その岩屋漁港のすぐ傍にあるのが、約2000万年前の岩屋砂岩の地層が露出して出来た、大和島、絵島という2つの小さな島である。 漁港の南側にある大和島は、陸続…

淡路市 岩屋神社

昨年12月下旬に兵庫県淡路市の史跡群を訪れた。 淡路は、播磨、備前、美作、摂津、但馬、因幡、丹波に次いで、私が史跡巡りで訪れた8つ目の国となる。 淡路島は現在の行政区分では兵庫県に属するが、史跡を訪れてみると、文化圏としては四国の文化圏である…

旧陸軍第十七師団の遺構 後編

岡山大学から南に行った突き当りにある、岡山市北区いずみ町の県総合グラウンドは、明治40年の陸軍第十七師団創設から昭和20年の終戦まで、陸軍の練兵場として使用された場所である。 今はスポーツ施設や公園などがある、市民の憩いの場となっている。 岡山…

旧陸軍第十七師団の遺構 前編

日本は日露戦争に勝利してから、更に軍備を増強することになり、明治40年(1907年)に陸軍に二個師団が増設された。 その時に設立されたのが、岡山に司令部が置かれた陸軍第十七師団である。 現在の岡山大学津島キャンパスのある場所に司令部が置かれ、岡山…

神宮寺山古墳

法界院から南に行き、JR津山線を越えて、岡山市北区三野にある岡山市三野浄水場に行く。 ここには、三野浄水場の旧動力室、ポンプ室の建物だった、岡山市水道記念館がある。 岡山は、旭川下流の三角州地帯に出来た町で、住民は古くから河川や用水溝の水を…

金剛山遍照寺法界院

旭川を渡って岡山市北区法界院にある金剛山遍照寺法界院を訪れた。 法界院仁王門 法界院は、真言宗の寺院である。法界院の前身の西谷山妙塔寺は、報恩大師が創建した備前四十八ヵ寺の一つとされる。妙塔寺は戦国時代に焼失し、天正九年(1581年)に現在地に…

百間川 一の荒手 二の荒手

岡山市街の中心部を流れる旭川。 古来から、洪水や氾濫のため、人々を悩ませてきた川だ。 江戸時代になって、最も被害が大きかった旭川の洪水は、承応三年(1654年)に起こった。岡山城下の死者156人、破損家屋1,455軒を数えた。被害の甚大さに、藩主池田光…

湯迫山浄土寺

賞田廃寺、唐人塚古墳のある岡山市中区賞田から東に進み、中区湯迫(ゆば)に入る。 行く手に温泉旅館白雲閣が見えてくる。 この白雲閣の北側にあるのが、湯迫山浄土寺である。現在は天台宗の寺院である。 湯迫山浄土寺 浄土寺は、天平勝宝元年(749年)に報…

唐人塚古墳

賞田廃寺跡から少し西に行くと、唐人(かろうと)塚古墳がある。 唐人塚古墳 岡山県には、巨石を用いて石室が築かれた、総社市のこうもり塚古墳、真備町の箭田大塚古墳、岡山市の牟佐大塚古墳という吉備三大巨石墳がある。 この唐人塚古墳も、石室に巨石を使…

賞田廃寺跡

古代吉備の有力豪族上道臣(かみつみちのおみ)が白鳳時代に造営したとされる寺院の跡が、賞田廃寺跡である。岡山市中区賞田にある。 賞田廃寺跡は、瀧ノ口山の南麓に広がる、広大な公園のような空間の中にある。 賞田廃寺跡 賞田廃寺跡見取図 賞田廃寺は、…

備前国総社宮 脇田山安養寺

2日前の記事で、備前国庁跡を紹介したが、国庁に赴任した国司にとって、令制国内の神社を巡って参拝することも重要な行事の一つであった。 しかし、国内の神社の数は多い。平安時代になると、国庁の近くに国中の神社の祭神を合祀した神社が出来た。これを総…

幡多廃寺塔跡 備前国庁跡

昨年12月半ばに備前を訪れた。 今日は、古代備前の政治・信仰の中心地だったと思われる場所を紹介する。 まずは、岡山市中区赤田(あこだ)にある幡多廃寺塔跡を訪れた。 幡多廃寺塔跡 幡多廃寺塔跡のある辺りは、新しい家が軒を並べる新興住宅街である。そ…

旧友井家住宅 親縁寺 岩尾城跡

石龕寺のある岩尾山から下りて、車を西に走らせる。 丹波市山南町野坂に移築保存されている旧友井家住宅を訪れた。 旧友井家住宅 旧友井家住宅は、元々は山南町阿草の集落に建っていた。友井家は、慶長年間(1596~1615年)から現代まで15代続く農家で、檜皮…

岩尾山石龕寺 後編

石龕寺の境内には、寺の鎮守の神様を祀る焼尾神社がある。 焼尾神社本殿は、覆屋に囲まれて保護されている。 焼尾神社 焼尾神社本殿 本殿脇障子 焼尾神社は、仁治二年(1241年)の創建と伝えられる。石龕寺金剛力士像が造られた仁治三年の前年に当る。 焼尾…

岩尾山石龕寺 前編

兵庫県丹波市山南町岩屋にあるのが、岩尾山石龕(せきがん)寺である。 石龕寺は、岩尾山という山の中腹にある真言宗の寺院だが、この寺に至る参詣道には、麓の森地区からの岩屋道と、金屋地区からの寺坂道の二つの道がある。 石龕寺の参詣道には、奥の院ま…

萬松山慧日寺

高座神社から西に行き、丹波市山南町太田の集落に入り、集落の奥に進むと、臨済宗の寺院、萬松山慧日(えにち)寺に辿り着く。 慧日寺の山門までは、短いが左右に杉が生えた薄暗い参道が続く。 参道 慧日寺は、永和元年(1375年)に管領細川頼之が建立し、そ…

高座神社

常勝寺と同じく丹波市山南町谷川の集落内にあるのが、高座(たかくら)神社である。 高座神社鳥居 高座神社は、丹波国造家の創建と伝えられる。 国造(くにのみやっこ)とは、律令制度以前に、朝廷から軍事、裁判権を含めた自治権を与えられた各国の首長であ…

丹波市 常勝寺 後編

法道仙人により創建された常勝寺は、永保年間(1081~1084年)に火災に遭って焼失した。 その後浄意上人により寺は再建されたが、天正三年(1575年)に明智光秀の攻撃により全山が焼き払われた。 時を経て元禄年間(1688~1704年)に、寺は良海法印により再…

丹波市 常勝寺 前編

11月下旬の紅葉が終る頃、兵庫県丹波市を訪れた。 私は今までの史跡巡りで、播磨、備前、美作、摂津、但馬、因幡の6カ国に足を踏み入れたが、今度で七つ目の国となる丹波を訪れたことになる。 丹波国は、現在の行政区分で言えば、東側は京都府、西側は兵庫…

豊楽寺 旭川第一ダム

志呂神社から南に行き、岡山市北区建部町豊楽寺にある静謐山豊楽寺(ぶらくじ)を訪れる。 ここは、真言宗の寺院で、寺伝によれば、和銅二年(709年)に玄昉上人が開基し、その後鑑真和尚が堂塔伽藍を整えたという。 豊楽寺仁王門 仁王像 岡山市指定重要文化…