2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

播州清水寺 後編

播州清水寺は、「今昔物語集」によれば、当初は地蔵信仰の聖地であったらしい。 そのためか、昭和12年になって、大正2年の大火まで常行堂が建っていた場所に地蔵堂が建てられた。現在の地蔵堂は、昭和57年に神戸大学多淵教授の設計により再建されたものであ…

播州清水寺 前編

兵庫県加東市平木にある御嶽山上にある清水寺は、京都の清水寺と区別するために、通称「播州清水寺」と呼ばれている。 西国三十三所巡礼観音霊場の第二十五番札所である。勿論、天台宗の寺院だ。 御嶽山は、標高約500メートルで、現在は麓から自動車道路が山…

若宮八幡宮 秋津薬師堂

三草山から下山して、加東市黒谷にある若宮八幡宮に向かう。八幡宮なので、祭神は第15代応神天皇即ち誉田別命である。 若宮八幡宮鳥居 若宮八幡宮随身門 若宮八幡宮拝殿 若宮八幡宮には、国指定重要文化財の本殿がある。創建年次は明らかではないが、内陣板…

三草山

姫路から京都まで貫通しているのが、国道372号線である。姫路から加西市、加東市を抜けて、丹波篠山に至り、そこから京都府の亀山を通過して京洛に到着する。 高速道路を使わずに、車で播州から京都に行くには、神戸や大阪を通過するルートと、この国道372号…

加東市 朝光寺

兵庫県加東市畑にある朝光寺は、姫路城、閑谷学校、一乗寺、鶴林寺、浄土寺に続いて、私が史跡巡りで訪れた6つ目の国宝建造物である。 加東市の中でも奥まったところにあり、国宝の寺だというのに観光客はほとんどいない。静けさに包まれた寺である。 朝光…

闘龍灘

兵庫県を代表する河川である加古川は、兵庫県丹波市の粟鹿山付近を源流とし、瀬戸内海まで流れている。 兵庫県加東市上滝野の加古川中流域にあるのが、名勝闘龍灘である。 ここは、川底から数メートルほど岩石が隆起していて、その岩石の間を縫って川が流れ…

五峰山光明寺 後編

光明寺の塔頭群を抜けると、仁王門に到達する。 仁王門 仁王門は、元禄六年(1693年)に、山麓に建っていたものを移築再建したものである。 昭和56年に、元の仁王門の部材を利用して、大規模に修復された。仁王門に据え置かれている阿吽一対の仁王尊像も、元…

五峰山光明寺 前編

兵庫県加東市光明寺にある五峰山光明寺は、推古天皇二年(594年)に法道仙人が開基したと伝えられる。現在は、古義真言宗の寺院である。 法道仙人は、実在したかどうかも分からない伝説上の人物だが、東播磨の法道仙人開基と伝わる数多くの寺院は、大抵西暦6…

花光寺山古墳、丸山古墳

備前福岡から東に行った岡山県瀬戸内市長船町服部に、花光寺山(けこうじやま)古墳がある。 墳長約86メートルの前方後円墳である。 花光寺山古墳登り口 4世紀後半の築造と推定されている。昭和11年の発掘調査で、長持形石棺を始め、三角縁三神三獣鏡、素環…

瀬戸内市 妙興寺 仲﨑邸

備前福岡の町中にあるのが、日蓮宗の寺院、教意山妙興寺である。 妙興寺山門 寺伝によれば、赤松則興の追善供養のため、応永十年(1403年)に大教阿闍梨日伝上人により建立されたという。 赤松則興なる人物は、調べてもよくわからない。赤松家の家系図にも出…

築山古墳 備前福岡

竹久夢二生家から北東に走る。 岡山県瀬戸内市長船町西須恵にある築山古墳を訪れる。 築山古墳 築山古墳は、全長約82メートルの前方後円墳である。5世紀後半から6世紀前半にかけての古墳とされている。写真右側が後円部となる。 明治40年(1907年)に後円…

横尾山静円寺 竹久夢二生家

寒風古窯跡群のある山上から下りて、瀬戸内市邑久町本庄にある横尾山静円寺(じょうえんじ)を訪れる。真言宗古義派の寺院である。 静円寺山門 この寺は、天平二年(730年)に行基菩薩が開基したと伝えられる。備前では、まず7世紀後半に官寺が出来て、奈良…

寒風古窯跡群

岡山県の旧邑久郡には、約130基の須恵器の古窯跡群がある。邑久古窯跡群という。6~12世紀の窯跡の遺跡である。当時の須恵器の生産地が北上し、伊部の地で備前焼に発展した。 岡山県瀬戸内市牛窓町長浜には、邑久古窯跡群を代表する窯跡である国指定史跡・…

錦海湾 若宮八幡宮

虫明から、岡山ブルーラインという自動車専用道路に入る。この道は、備前市から岡山市までを結ぶバイパスのようなもので、かつては有料道路だったが、今は全線無料である。 ブルーラインという名称から、この道路が海沿いを通っているものと思われがちだが、…

虫明 長島

岡山県瀬戸内市邑久町虫明は、古くから風待ちの港として栄え、江戸時代には岡山藩池田家の筆頭家老伊木氏が陣屋を設け、沿岸警備に当たった。 JA裳掛支所の北側にある工場の辺りが、茶屋と呼ばれた伊木氏の陣屋があった場所である。 工場の中に、「伊木氏茶…

加東市 持宝院 観音寺

兵庫県加東市社の佐保神社の東側には、かつての門前町の通りの面影を残す商店街がある。 佐保神社からその商店街を北上すると、すぐ左手に見えてくるのが、持宝院(真言宗)である。 持宝院山門 持宝院には、関西建築界の父と言われる、武田五一(たけだごい…

加東市 佐保神社 明治館

広渡廃寺跡歴史公園から北上し、加東市に入る。加東市上田にある大芋(おおくも)神社の明神鳥居は、寛永二年(1625年)の銘がある、凝灰岩製の鳥居である。 鳥居は、大芋神社の東側参道の東端に建っている。 大芋神社鳥居 この鳥居は、江戸時代初期の形態を…

広渡廃寺

浄土寺から北西に2キロメートルほど行った兵庫県小野市広渡町に、広渡廃寺跡歴史公園がある。 広渡廃寺跡歴史公園 ここは平成11年に史跡公園として整備された。 広渡廃寺は、7世紀後半に開基された広渡寺の跡である。昭和48年から昭和50年にかけて発掘され…

極楽山浄土寺 後編

今の浄土寺鐘楼は、寛永九年(1632年)に建立された。 腰袴付鐘楼で、均整の取れた姿をしている。 鐘楼 鐘楼は、加東郡河合郷新部村の粟津七右衛門という者が建立した。浄土寺塔頭歓喜院所蔵の、粟津七右衛門位牌厨子扉裏にそのことが書かれているそうだ。鐘…

極楽山浄土寺 前編

兵庫県小野市浄谷町にある極楽山浄土寺は、東播磨に4つある「国宝の寺」の一つである。現在は真言宗の寺院となっている。 浄土寺と言えば、何といっても国宝浄土堂と快慶作の国宝阿弥陀如来立像及び両脇侍像であるが、それ以外にも見所は多い。 浄土寺伽藍…

好古館 小野市伝統産業会館

兵庫県小野市西本町にある好古館は、小野市の遺跡から発掘された出土品や、歴史資料を展示する歴史博物館である。 昭和11年に建てられた小野小学校の講堂を移築して、平成2年に開館した。 好古館の隣には、小野小学校があるが、学校の前に一柳家陣屋遺跡の…

奈義町の史跡

菩提寺から山岳路をしばらく西に走ると、大別当城跡に登る道が見えてくる。 登り口から北を望むと、彼方に那岐山が聳えている。 那岐山 那岐山は、標高1255メートルである。あの山の向こうは鳥取県だ。 奈義山脈中には、他にも複数の山城があるが、いずれも…